ジローラモ・ダ・カルピ

ジローラモ・ダ・カルピ（Girolamo Da Carpi, 1501年 - 1556年）は、ルネサンス期のイタリアで活動した画家であり、室内装飾家としても知られています。彼はボローニャ派に分類され、その芸術スタイルは、同時代の巨匠たちの影響を受けつつ、独自の個性を発揮しています。

生涯

カルピは、画家であり装飾家でもあった父親のもとで生まれ育ちました。彼の父親は、フェラーラのエステ家の宮廷に仕えていた人物です。幼少期から芸術に触れる機会に恵まれたカルピは、まずロレンツォ・コスタやラファエロといった画家の影響を受けた工房で修行を積みました。また、ガロファロの下で徒弟として働いていた記録も残っています。

1520年代になると、カルピは芸術の中心地であるローマとボローニャを訪れ、そこでジュリオ・ロマーノのマニエリスム様式に触発されました。この経験は、彼の芸術スタイルに大きな影響を与え、より洗練された表現へと導きました。その後、彼はフェラーラに戻り、エステ家の依頼を受け、ドッソ・ドッシやガロファロといった画家たちと共に仕事をするようになりました。これらの仕事を通して、彼はその才能をさらに開花させていきました。

1550年には、カルピはローマ教皇ユリウス3世の御用建築家となり、バチカン宮殿のベルベデーレ改築の監督という重要な役割を担いました。この職務は、彼の建築と装飾に関する知識と能力を証明するものでした。その後、再びフェラーラに戻ったカルピは、エステンセ城の増築を任され、彼の多才ぶりを再び示しました。

作品

カルピの絵画作品には、ロヴィーゴのサン・フランチェスコ教会にある『精霊の堕落』、ボローニャの『聖母』、『東方三博士の礼拝』、『聖カタリーナ』、そしてフェラーラの『聖ゲオルギウス』、『聖ヒエロニムス』などがあります。これらの作品は、彼の芸術的な才能と、宗教的なテーマを深く理解していたことを示しています。

代表作

東方三博士の礼拝（1531年）ボローニャ、サン・マルティーノ教会
聖カタリーナの結婚（1532年 - 1534年）ボローニャ、サン・サルヴァトーレ教会
聖ロンギヌス（1531年）
ペンテコステ　ロヴィーゴ、サン・フランチェスコ教会
機会と忍耐（1541年）ドレスデン、古典絵画館

これらの作品は、カルピの画風の特徴をよく表しており、ルネサンス期のイタリア美術における彼の重要性を物語っています。彼の作品は、その後の世代の芸術家たちに大きな影響を与え、今もなお高く評価されています。

参照

Freedberg, Sydney J. (1993). Painting in Italy, 1500-1600. Pelican History of Art. Penguin Books Ltd.
Chisholm, Hugh, ed. (1911). "Carpi, Girolamo da". Encyclopædia Britannica*. Vol. 5 (11th ed.). Cambridge University Press. p. 397.（アメリカ合衆国内で著作権が消滅した1911年のブリタニカ百科事典からの情報を含む）

ジローラモ・ダ・カルピは、画家、装飾家、建築家として多岐にわたる才能を発揮したルネサンス期の重要な人物です。彼の作品は、当時の芸術的なトレンドを反映しつつも、独自のスタイルを持ち、後世に大きな影響を与えました。

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