ジ・アーリー・ビートルズ

ジ・アーリー・ビートルズ：ビートルズ初期の魅力を凝縮したアメリカ編集盤

1965年3月22日、キャピトル・レコードより発売された『ジ・アーリー・ビートルズ (The Early Beatles)』は、ビートルズのアメリカにおける8作目のアルバムです。同レーベルとしては6作目のリリースとなり、ジャケット写真には『ビートルズ・フォー・セール』の裏面写真が使用されている点が特徴的です。

このアルバムは、ビートルズとヴィージェイ・レコードとの契約が終了したことをきっかけに、それまでヴィージェイ・レコードが保有していた楽曲のキャピトル・レコードによるリリースが可能になったことで誕生しました。主に初期のアルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』からの楽曲が選曲されていますが、『プリーズ・プリーズ・ミー』収録の「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」「ミズリー」「ゼアズ・ア・プレイス」は除外されています。また、Vee-Jayレコードからリリースされ、ビートルズの代表曲として知られる「サンキュー・ガール」「フロム・ミー・トゥ・ユー」も収録されていません。選曲された楽曲は、オリジナルアルバムとは異なる順番で配置されています。

アメリカでのチャート成績は最高43位と、ビートルズの作品としてはやや低い順位にとどまりました。しかしながら、アルバムは100万枚以上のセールスを記録、ミリオンセラーの称号を得ています。ただし、この記録達成には発売から10年以上を要しています。その人気は長く、時代を超えて愛されていることが伺えます。アメリカレコード協会からは、1974年1月8日にゴールド認定、さらに1997年1月10日にはプラチナ認定を受けており、その商業的成功を裏付けるものとなっています。

興味深いことに、長らくCD化されていなかった『ジ・アーリー・ビートルズ』ですが、2004年にリリースされたボックスセット『The Capitol Albums Vol.2』に収録され、初めてCDとして入手可能となりました。このボックスセットには、ステレオとモノラルの両バージョンが収録されているため、異なる音質で楽曲を楽しむことができます。

収録楽曲は、主にジョン・レノンとポール・マッカートニーによる共作ですが、ジョージ・ハリスンがリードボーカルを務める楽曲や、リンゴ・スターのリードボーカル楽曲も含まれており、メンバーそれぞれの才能が存分に発揮されています。さらに、一部楽曲にはジョージ・マーティンによるチェレスタ演奏も聴くことができます。

『ジ・アーリー・ビートルズ』は、アメリカ市場におけるビートルズの初期楽曲の再編集盤として、重要な位置を占める作品です。商業的な成功だけでなく、長年の未CD化を経て、後にCD化されたという歴史も、このアルバムを特別な存在たらしめていると言えるでしょう。ビートルズ初期の楽曲に触れるには最適な作品であり、彼らの音楽遍歴をたどる上で欠かせない一枚です。

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