ダッジ・ダート

ダッジ・ダート：時代を彩ったアメリカンカーの変遷

ダッジ・ダートは、アメリカを代表する自動車メーカー、クライスラーのダッジブランドから、1960年から1976年、そして2012年から2016年にかけて生産された乗用車です。その歴史は、フルサイズカーからコンパクトカーへと変化を遂げ、それぞれの世代で異なる魅力を放つモデルとして記憶されています。

初代ダッジ・ダート（1960-1961年）

ダッジ・ランサーの後継として登場した初代ダッジ・ダートは、ショートホイールベースのフルサイズカーでした。3.7L直列6気筒エンジンや5.2L/5.9L V8エンジンを搭載し、4ドアセダン、ステーションワゴン、2ドアセダン、2ドアハードトップと多彩なボディバリエーションを展開。しかし、ヴァージル・エクスナーのデザインによる独特のフロントグリルや視認性の低いリアコンビネーションランプが不評となり、販売台数は伸び悩みました。

2代目（1961-1962年）

初代に比べてコンパクト化され、ボディバリエーションも拡大。2ドアコンバーチブルと4ドアハードトップが追加されました。6.8L V8エンジンも設定されましたが、短命に終わりました。

3代目（1963-1966年）

ランサーの後継車種として、サイズダウンして登場した3代目。ボディタイプは4ドアハードトップが廃止され、計5種類となりました。エンジンは2.8Lと3.7Lの直列6気筒、4.5LのV8エンジンの3種類が用意されました。

4代目（1967-1976年）

フルモデルチェンジを果たした4代目では、ステーションワゴンが廃止され、代わりに2ドアクーペが追加されました。クライスラーのコンパクトクラスで初めて湾曲したリアウインドウを採用するなど、デザインにも特徴がありました。さらにサイズダウンも図られ、1976年の生産終了まで、改良を重ねながら販売されました。エンジンは2.8L～3.7Lの直列6気筒、4.5L～5.9LのV8、7.2LのV8、そして7.0LのHEMIエンジンと、幅広い選択肢が用意されました。頑丈で信頼性の高い車として高い評価を得ました。

5代目（2012-2016年）

36年の時を経て、2012年に復活した5代目ダッジ・ダートは、コンパクトクラスのセダンとして登場しました。この世代は、アルファロメオ・ジュリエッタをベースに開発された点が大きな特徴です。アルファロメオのプラットフォームを元に、アメリカ人の体型に合わせた車幅に拡大し、3ボックスセダンスタイルに仕上げられました。1.4Lターボ、2.0L、2.4Lのフィアット製直列4気筒エンジンを搭載し、6速MTを標準装備。一部エンジンには6速DCTや6速ATもオプション設定されました。イリノイ州のベルヴェディア工場で生産され、フィアット・ビアッジオ、ジープ・チェロキー、クライスラー・200など、他のクライスラーグループ車種にも技術が流用されました。しかし、販売不振により2016年に生産が終了しました。

まとめ

ダッジ・ダートは、時代の変化に合わせてフルサイズからコンパクトへと変遷し、それぞれの時代に合わせた魅力で消費者を惹きつけました。特に、5代目におけるアルファロメオとの技術提携は、異色のコラボレーションとして注目を集めました。販売不振による生産終了は残念ですが、その歴史は、アメリカの自動車史において重要な位置を占めるものと言えるでしょう。

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