スイス国鉄RABDe500形電車

スイス国鉄RABDe500形電車 (SBB RABDe 500, Intercity-Neigezug, ICN) について

スイス連邦鉄道（スイス国鉄）が運行するRABDe500形電車は、インターシティ路線で使用される制御付き自然振子式電車です。この電車は、2002年にスイスで開催された博覧会「Expo.02」に合わせて、2000年5月28日に運行を開始しました。

開発の背景

スイスの鉄道網近代化計画「バーン2000」の一環として、RABDe500形は開発されました。2004年に開業したマットシュテッテン-ロートリスト新線などの高速新線区間では、最高運転速度200km/hでの運行が可能です。開発は、シグ、フィアット（現アルストム）、アドトランツ（現アルストム）とスイス国鉄の共同で行われました。

編成と構造

RABDe500形は通常、2編成を連結して運用されます。1編成は7両で構成され、内訳は以下の通りです。

1等車：2両
食堂車と1等コンパートメント合造車：1両
2等車：4両

1等車の一部には、電源コンセントと携帯電話の受信感度を向上させる増幅器が設置されています。また、コンパートメントには扉がないのが特徴です。当初、アドトランツからの車両納入の遅れにより営業運転開始が遅れましたが、博覧会期間中には必要な編成が揃い、現在では十分な数が運行されています。

振子機構

この電車の振子機構は、コロで車体を支える強制振子方式を採用しており、シグが開発を担当しました。日本の車両に見られるような自然振子式とは異なり、電動機械式アクチュエータで駆動します。制御装置はフィアットが担当し、同社のペンドリーノ技術が活かされています。枕ばねは、車体を支える空気ばねが台車の中心に1つだけ配置されているのが特徴です。車体のローリングに対する抵抗は、空気ばねの両側に設けられたトーションバースプリングによって得ています。

その他の機構

車体傾斜時のパンタグラフ補正機構として、屋根上には電動機械式の傾斜機構が搭載されています。さらに、キハ283系気動車に類似したリンク機構を通じて、ボギー角と車軸の操舵角を連動させる半強制式の車軸操舵機構も備えています。

運転区間

RABDe500形は、運行開始当初の2000年5月28日に、ザンクトガレンとローザンヌ間などで運行を開始しました。その後、運行地域は拡大され、現在は以下の路線で運行されています。

ザンクトガレン – チューリッヒ中央駅 – ビエンヌ – ローザンヌ – ジュネーヴ (2001年7月10日～)
バーゼルSBB駅 – ドゥレモン – ビエンヌ – ヌーシャテル – ローザンヌ – ジュネーヴ (2003年12月14日～)
ビエンヌ – チューリッヒ中央駅 – ヴァインフェルデン – コンスタンツ – ロマンスホルン (2004年12月12日～)
チューリッヒ中央駅 – ブルック – ベルン中央駅 (2004年12月12日～)
RegioExpress ジュネーヴ – ニヨン (2005年12月11日～)
バーゼル – ツォーフィンゲン (2005年12月～)
チューリッヒ中央駅 - アーラウ
チューリッヒ中央駅 - ロールシャッハ

参考文献

野元浩『電車基礎講座』交通新聞社、2013年。ISBN 978-4-330-28012-7。
B H Huber (1998). “The bogie-based tilt option - simplicity and flexibility”. Proceedings of the Institution of Mechanical Engineers vol 212 Part F (IMechE).

関連項目

スイスの鉄道
* スイス連邦鉄道

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