スウィーティー

スウィーティー（オロブランコ）：甘く爽やかな柑橘の物語

スウィーティー、あるいはオロブランコとして知られるこの柑橘類は、グレープフルーツとブンタンという異なる柑橘の交配によって生まれた、ユニークな存在です。イスラエルで栽培されたものは「スウィーティー」、アメリカで栽培されたものは「オロブランコ」という名前で流通しており、両者は同じ品種です。

その魅力は、何と言ってもその強い甘さと控えめな酸味にあります。グレープフルーツのような強い酸味が苦手な方にも、親しみやすい味わいです。この特別な柑橘は、1958年、カリフォルニア大学リバーサイド校の研究者たちによって、メロゴールドと共に開発されました。その後、特許を取得し、1972年頃にはカリフォルニア州で本格的な栽培が始まり、オーストラリアなどにも広がっていきました。現在ではイスラエルが主要な産地の一つとなっており、特にイスラエル産のものは「スウィーティー」として広く知られています。カリフォルニア州とオーストラリアの栽培面積は、それぞれ約1,500ヘクタールと約10ヘクタールと推定されています。

スウィーティーが誕生した背景には、遺伝子の組み合わせがあります。4倍体のグレープフルーツ（マーシュ種）と2倍体のブンタン（無酸シャムスイート種）を交配することで、3倍体のスウィーティーが生まれました。この3倍体であることが、種子ができにくいという特徴を生み出しています。

日本においては、1990年代にロッテがチューインガムを発売したことで知名度が向上し、ガムや清涼飲料水の材料として広く使われるようになりました。検疫上の問題がクリアになった後は、生食用としても徐々に人気が出てきました。特に2004年、フロリダ州をハリケーンが襲い、グレープフルーツの生産が減少した際には、代替品としてスウィーティーが注目を集めました。旬の時期は11月から2月頃です。

その見た目は、グレープフルーツとほぼ同じ大きさで、果皮は緑色をしています。しかし、グレープフルーツと比べて、皮の内側の白い部分であるアルベドが厚く、可食部の割合は少ないという特徴があります。

スウィーティーの果皮には、テルペン系炭化水素などの精油成分が豊富に含まれています。これらの成分には、発泡スチロールなどを溶解する作用があることが知られています。これは、精油成分が溶剤として働くためであり、天然素材としての活用も期待されています。ただし、食用として普通に食べる分には人体への影響はありません。

一方、注意が必要な点もあります。スウィーティーには、フラノクマリン類が含まれています。この物質は、薬の血中濃度を上昇させる作用があるため、服用している薬によっては、薬効が強まりすぎたり、副作用が強くなったりする可能性があります。そのため、医薬品との併用摂取には注意が必要です。薬を服用中の方は、医師や薬剤師に相談することをお勧めします。

独特の風味と成分を持つスウィーティーは、その歴史や特徴、そして薬との相互作用への注意点を理解した上で、美味しく安全に楽しむことができる魅力的な柑橘類です。

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