スウェーデン国立図書館

スウェーデン 国立図書館：歴史と文化の宝庫

スウェーデン国立図書館（Kungliga biblioteket）は、スウェーデンの国立図書館として、国内の出版物や音響映像作品、さらには海外で出版されたスウェーデン関連のコンテンツを幅広く収集・保管しています。単なる図書館機能にとどまらず、学術研究の拠点としての役割も担い、国内外の貴重な文献を所蔵しています。

豊富なコレクション

蔵書数は2000万点を超え、書籍だけでなく、ポスター、写真、写本、新聞など多岐にわたります。音響映像コレクションも充実しており、700万時間以上の録画・録音媒体を所蔵しています。人文科学分野の学術図書館としての側面も強く、考古学、歴史、文学研究、美術史など、様々な分野の海外文献も豊富です。

スウェーデン関連の資料は「suecana」と呼ばれ、外国語で書かれたスウェーデンに関する文献や、スウェーデン人が海外で制作に関わった作品などが含まれます。近年では、フロッピーディスクやCD-Rといった電子媒体の収集も開始しており、電子書籍、電子ジャーナル、ウェブサイト、その他の電子文書も積極的に収集しています。

1953年には、サンクトペテルブルクとモスクワからロシア語文献を大量に購入し、これがストックホルムのスラブ語図書館設立の礎となりました。1964年にはモスクワのレーニン図書館との協力関係を強化し、両国で出版物を交換するようになりました。

法定納本制度

スウェーデンの法定納本法に基づき、国内の出版社は出版物を国立図書館と他の6つの学術図書館に納本する義務があります。音楽、映画、テレビ、ラジオなどの音響映像資料も同様に、国立図書館への納品が義務付けられています。

この法定納本制度は1661年に始まり、当初は出版物の検閲を目的としていました。しかし、現在では、スウェーデンの文化遺産を後世に伝えるための重要な制度となっています。

図書館連携とデジタル化

国立図書館は、高等教育と研究を支援するため、学術図書館や大学図書館が各種データベースへアクセスできるようにライセンス契約を結んでいます。また、スウェーデン国内の図書館データベースシステム「LIBRIS」を開発・保守しており、インターネットを通じて誰でも自由に利用できます。

さらに、スウェーデン国内のISBN管理も国立図書館が行っています。

1997年からは、インターネット上のスウェーデン関連情報を収集する「kulturarw3」プロジェクトを開始し、電子書籍や電子ジャーナルなどのデジタルコンテンツの収集も積極的に行っています。

誰でも利用可能、ただし閲覧は館内のみ

国立図書館は誰でも利用できますが、コレクションの閲覧は18歳以上でなければなりません。原則として、コレクションの館外貸し出しは行っておらず、閲覧室での利用となります。ただし、スウェーデン以外の国で出版された資料については、館外貸し出しが可能な場合もあります。

ストックホルム中心部のフムレゴーデン公園内に図書館の建物があります。

歴史的変遷

図書館の起源は16世紀のグスタフ1世の時代に遡ります。当初は王室の蔵書として、宮殿内に保管されていました。書籍は海外からの購入だけでなく、宗教改革で弱体化した修道院から没収したものも含まれていました。

17世紀には、三十年戦争の戦利品としてコレクションが大幅に拡充しました。しかし、1697年の宮殿火災で多くの書籍や写本が焼失するという悲劇も経験しています。

19世紀には、複数の大規模コレクションの寄贈や購入によって、蔵書はさらに増加しました。手狭になった宮殿からフムレゴーデンに移転し、現在に至ります。

建物の変遷

現在の建物は、1877年に完成したもので、当時としては最新の鋳鉄技術が採用されています。その後、増改築を経て、1997年にリニューアルオープンしました。

地下には、大規模な書庫が増設され、講堂、展示室、マイクロフィルム閲覧室なども備えられています。マイクロフィルム閲覧室では、スウェーデンの全ての日刊紙、海外の新聞を閲覧することができます。

組織体制

国立図書館は、スウェーデン教育科学省の監督下にある政府機関です。館長は4年ごとに交代し、2019年からはカリン・グロンヴァルが務めています。

2009年には、国立音楽・動画アーカイブが国立図書館に統合されました。

デジタル化への取り組み

1997年からウェブ上のスウェーデン関連情報を収集・保存するプロジェクトを開始しました。また、新聞社や出版社が発行する電子書籍や電子定期刊行物を自動的に収集するシステムを構築しました。同時に、紙媒体のデジタル化も進めています。

新聞のデジタルデータベースは、1645年からの主要な新聞紙をOCR処理し、デジタル化しています。これは、スウェーデン国内の主要大学でも利用可能です。

スウェーデン国立図書館は、過去から現在に至るまでのスウェーデンの文化、歴史、学術を伝える重要な役割を担っています。

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