国立図書館

国立図書館：国家を支える知識の殿堂

国立図書館とは、国家またはそれに準ずる機関が設置・運営する図書館です。英語ではナショナル・ライブラリー(National Library)と呼ばれ、ほぼ同義です。その役割は、単なる書籍の保管場所ではありません。国家の文化的基盤を支え、国民への知識提供という重要な使命を担っています。

国立図書館の定義：多様な形態とユネスコの基準

一般的には、国が直接運営するか、国が出資する機関が運営する図書館を指します。議会図書館、国立公文書館などもその範疇に含まれる場合があります。しかし、ユネスコによる定義はより厳格です。ユネスコは、国立図書館を「法律や規則により、国内で発行された重要な出版物を収集・保存し、『納本図書館』としての機能を有する図書館」と定義しています。さらに、全国出版物目録の作成、外国文献の収集・整備、全国文献情報センターとしての機能なども担うとされています。

名称や設置形態は国によって様々です。アメリカ合衆国や日本の国会図書館のように議会の付属機関である場合もあれば、イスラエルのように国立大学の図書館が国立図書館を兼ねている場合もあります。重要なのは、ユネスコ定義に沿った機能を有しているかどうかです。

国立図書館の主要な機能

国立図書館の主要な役割は、以下の通りです。

1. 資料の収集と保存: 国内出版物の網羅的な収集・保存を行い、国の文化遺産を構築します。納本制度によって、出版物は国立図書館に送られます。
2. 全国書誌の作成: 収集した資料に基づき、国内の全ての出版物の書誌情報を網羅した全国書誌を作成・刊行します。これは、図書館資料の検索や利用に不可欠なものです。日本の『日本全国書誌』がその一例です。
3. 書誌情報の調整: 国内外の図書館と協力して、書誌情報の基準を統一することで、資料検索の効率化に貢献します。
4. 図書館協力: 国内外の図書館とのネットワークを構築し、資料の貸出・複写などのサービスを提供します。図書館員育成などの人的支援を行う場合もあります。全国総合目録の作成を通じて、資料の所在検索を容易にします。
5. 国際協力: 国際的な図書館機関と協力し、海外の図書館に資料を提供したり、レファレンスサービスを提供します。国際的な資料交換も盛んに行われています。官庁出版物の交換は特に重要です。
6. ISBN・ISSNナショナルセンター: 出版物に付与されるISBN（国際標準図書番号）やISSN（国際標準逐次刊行物番号）のナショナルセンターを担う国もあります。

国立図書館の多様な役割

国立図書館は、図書館事業の中核として、図書館資料の収集・保存、書誌情報の整備・提供、図書館間の協力など、多岐にわたる役割を担っています。図書館事業の発展段階によっては、公共[[図書館]]と役割が重複する場合もあります。しかし、その存在意義は、国家全体の文化遺産の保存と国民への知識提供という、揺るぎない使命に裏付けられています。

各国の国立図書館は、それぞれの国の歴史的背景や社会状況を反映して、その機能や運営方法に違いが見られます。しかし、共通しているのは、国家の文化と知識の未来を担うという、その重要な役割です。

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