スウェード (バンド)

スウェード (Suede) の軌跡

スウェードは、1989年にイギリス・ロンドンで結成されたロックバンドです。ボーカルのブレット・アンダーソンとギターのバーナード・バトラーを中心に、デヴィッド・ボウイやザ・スミスに影響を受けた耽美的な音楽性で、1990年代のUKロックシーンに大きな衝撃を与えました。その音楽性は、後のブリットポップの隆盛を促すきっかけになったとも評されています。

バンドの黎明期

1989年、ロンドンの大学で出会ったブレット・アンダーソンとマット・オズマンは、ブレットの当時のガールフレンドであったジャスティーン・フリッシュマンと共にバンドを結成します。ジャスティーンの提案によりバンド名は「Suede」と名付けられました。その後、音楽雑誌に掲載したメンバー募集広告をきっかけに、ギタリストとしてバーナード・バトラーが加入。ドラマーは何度かメンバーチェンジを経て、1990年にサイモン・ギルバートが加入し、初期のラインナップが完成しました。

1991年にジャスティーンが脱退したものの、ライブ活動を通じて徐々に注目を集めたスウェードは、1992年にインディーレーベルのヌード・レコーズと契約を結び、デビューへの足がかりを掴みます。

デビューと成功

1992年、デビューシングル「ザ・ドラウナーズ」のリリースを控え、音楽誌メロディー・メイカーから「イギリス最高のニュー・バンド」と絶賛されたことで、スウェードは一躍注目を集めます。続く2ndシングル「メタル・ミッキー」は全英トップ20入り、1993年の「アニマル・ナイトレイト」は全英トップ10入りを果たし、インディーバンドとしては異例のブリット・アワーズに出演。ブレットによる挑発的なパフォーマンスも話題となり、その存在を広く知らしめました。

1993年3月にリリースされた1stアルバム『スウェード』は、発売1週間で10万枚を売り上げ、全英1位を獲得。デビュー作の最速売り上げを記録し、その年のマーキュリー賞を受賞しました。ブレットの中性的な歌声とバーナードのギターのコンビネーションは、ザ・スミスのモリッシーとジョニー・マーの関係にも例えられました。また、同性愛や近親相姦などをテーマにした刺激的な歌詞や、ブレットの過激な発言も注目を集め、「スウェード現象」として社会現象化していきました。

バーナード・バトラーの脱退と音楽性の変化

しかし、バーナードはバンドの音楽以外の部分での話題性に嫌気が差し、ブレットとの関係も悪化。セカンドアルバムのレコーディングが進められる中、シングル「ステイ・トゥゲザー」は全英3位と最大のヒットとなりましたが、1994年にバーナードが脱退。バンドはギタリストを募集し、600通の応募の中から当時17歳のリチャード・オークスが加入。

1994年10月に発表された2ndアルバム『ドッグ・マン・スター』は、オーケストラを導入した壮大なサウンドと退廃的な雰囲気で高い評価を得ましたが、バーナード脱退の影響やブリットポップの台頭もあり、チャートでは伸び悩みました。その後、1996年にキーボードにニール・コドリングが加入し、5人編成となったスウェードは、3rdアルバム『カミング・アップ』で音楽性を変化させます。先行シングル「トラッシュ」の大ヒットもあり、アルバムは全英1位を獲得。スウェード最大のヒット作となりました。

商業的不振と活動休止

1999年、4thアルバム『ヘッド・ミュージック』を発表。ダンスミュージックの要素を取り入れるなど新たな試みを見せましたが、前作の様な爆発的なヒットには至りませんでした。また、この頃ブレットの薬物中毒が悪化していた事も、バンドの不調の一因となりました。2002年には5thアルバム『ニュー・モーニング』を発表。アコースティック主体で歌詞も前向きなものへと変化しましたが、従来のファンからの反発を受け、セールスも低迷しました。

2003年、ベストアルバム『シングルズ』のリリースに合わせて、過去のアルバムを再現するコンサートを開催し、その年の11月に活動休止を発表。ブレットはソロ活動やバーナードとの再会を経てザ・ティアーズを結成するも、短命に終わっています。

再結成と現在

2010年、『カミング・アップ』期のメンバーで一夜限りの再結成ライブを行ったところ、好評を得たことから本格的に活動を再開。2013年には約10年半ぶりのアルバム『ブラッドスポーツ』を発表。その後も精力的に活動を続けています。

メンバー

現在のメンバー

ブレット・アンダーソン (Brett Anderson) - ボーカル
マット・オズマン (Matt Osman) - ベース
サイモン・ギルバート (Simon Gilbert) - ドラム
リチャード・オークス (Richard Oakes) - ギター (1994年加入)
ニール・コドリング (Neil Codling) - キーボード (1995年加入、2001年脱退、2010年再加入)

過去のメンバー

バーナード・バトラー (Bernard Butler) - ギター (1994年脱退)
アレックス・リー (Alex Lee) - キーボード、ギター (1999年サポート参加、2001年加入、2003年脱退)
ジャスティーン・フリッシュマン (Justin Frischmann) - ギター (1992年脱退)

ディスコグラフィー

オリジナル・アルバム

スウェード (Suede) (1993年)
ドッグ・マン・スター (Dog Man Star) (1994年)
カミング・アップ (Coming Up) (1996年)
ヘッド・ミュージック (Head Music) (1999年)
ニュー・モーニング (A New Morning) (2002年)
ブラッドスポーツ (Bloodsports) (2013年)
ナイト・シーツ (Night Thoughts) (2016年)
ザ・ブルーアワー (The Blue Hour) (2018年)
オートフィクション (Autofiction) (2022年)

コンピレーション・アルバム

サイ・ファイ・ララバイズ (Sci-Fi Lullabies) (1997年)
* シングルズ (Singles) (2003年)

来日公演

スウェードは、これまでに多数の来日公演を行っています。初期はクラブチッタや渋谷公会堂などで公演を行い、その後も日本各地でライブを開催しています。

（詳細な来日公演の記録は省略）

まとめ

スウェードは、その耽美的な音楽性と挑発的なパフォーマンスで、90年代のUKロックシーンを代表するバンドの一つです。メンバーチェンジや活動休止を経験しながらも、常に変化を恐れず、その音楽性を追求し続けています。現在も精力的に活動を続けており、今後の活躍も期待されています。

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