スコルペヌ型潜水艦

スコルペヌ型潜水艦

スコルペヌ型潜水艦は、フランスのDCNS社（現：Naval Group）とスペインのナバンティア社が共同で開発した通常動力型潜水艦です。輸出市場を強く意識しており、多様な顧客のニーズに対応できるよう、様々な派生型が用意されています。

開発の経緯

スコルペヌ型は、老朽化したダフネ級潜水艦の後継として開発されました。当初、フランス海軍はアゴスタ級潜水艦を導入しましたが、水中運動性に限界があったため、より先進的な設計が求められました。しかし、予算の制約から、フランス海軍はアゴスタ級の改良型に留まりました。一方、DCNS社はS-80型の開発を継続し、スペイン海軍もダフネ級の後継艦を求めていたことから、両国の計画が合流し、スコルペヌ型が誕生しました。

設計の特徴

スコルペヌ型は、静粛性に優れた設計が特徴です。艦首部分には、リュビ級原子力潜水艦の設計が応用され、水中高速航行時の雑音を大幅に低減しています。これにより、敵に発見されにくく、自艦のソナーによる目標探知能力も向上しています。艦内は2層構造で、上層は居住区、下層は機関室となっています。居住区には特殊作戦要員のための予備寝台も備えられています。

機関

スコルペヌ型には、通常型のディーゼル・エレクトリック方式に加え、非大気依存推進（AIP）を搭載可能なモデルがあります。AIP搭載型では、DCNS社が開発したMESMAシステムが採用されています。これは、エタノールと液体酸素を燃焼させ、その熱で水蒸気を発生させ、蒸気タービンを回して発電する方式です。

電子装備

戦闘システムには、リュビ級原子力潜水艦で培われた技術が導入されています。SUBTICS戦術情報処理装置は、ソナー、レーダー、他艦からの情報などを統合し、指揮官の意思決定を支援します。水中攻撃指揮装置（UBFCS）は、魚雷や対艦ミサイルの発射に必要な射撃諸元を算出します。また、長距離用パッシブ・ソナー、脅威警報機、アクティブ・ソナー、平面アレイ・ソナー、曳航ソナーなど、多様なソナーを搭載しています。

攻撃装備

艦首には6門の533mm魚雷発射管が装備されており、魚雷や対艦ミサイルを発射できます。魚雷発射管1門あたり3基の兵装を搭載可能で、合計18基の兵装を搭載できます。また、機雷を搭載することも可能です。水中発射型のSM39対艦ミサイルにも対応しており、長距離での対水上攻撃能力も有しています。

運用状況

スコルペヌ型は、輸出市場でドイツの209型潜水艦や214型潜水艦と競合しています。209型は実績のある潜水艦であり、顧客の多様なニーズに対応できます。スコルペヌ型は、水中発射型対艦ミサイルを運用できるなどの独自のメリットを有しており、チリ、インド、マレーシアなどが採用を決定しています。

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