スズキ・エルティガ

スズキ・エルティガ：グローバルに展開する多様な小型MPV

スズキ・エルティガは、2012年以降、スズキがインドネシアやインドをはじめとした海外市場向けに製造・販売している7人乗り小型MPV（ミニバン）です。インド市場では、Life Utility Vehicle（LUV）という新しいカテゴリーの車として位置付けられ、家族の多いインドのユーザーニーズに応えるべく開発されました。

初代（ZE型：2012年～2018年）

初代エルティガは、2010年のニューデリーオートエクスポで発表されたコンセプトカー「コンセプトR3」をベースに開発されました。「コンセプトR3」は3列シートを持つ6人乗りで、観音開きドアを採用していましたが、市販モデルでは、より実用的な7人乗りの3列シート、そして従来型のドアに変更されました。

プラットフォームはスズキ・スイフトをベースに、ホイールベースを大幅に延長して設計。安定性と広々とした室内空間の両立を図りました。エンジンは、1.4Lガソリンエンジンと1.3Lディーゼルエンジンの2種類を用意。トランスミッションは5速MTが標準で、ガソリン車には4速ATも設定されました。駆動方式はFFのみです。

2012年4月にインドで、同月の後半にはインドネシアで発売開始。その後、タイ、ミャンマー、マレーシアなど、アジア各国へと販売地域を拡大しました。一部地域では、マツダへOEM供給も行われ、マツダVX-1として販売された時期もありました。2015年には、インドネシアの生産拠点を移管し、生産体制の強化を図りました。また、2016年にはマレーシアのプロトンが現地生産を開始するなど、エルティガはアジア市場におけるスズキの戦略的なモデルとして重要な役割を果たしました。初代モデルは2018年まで販売され、マイナーチェンジを経て改良が加えられていました。

2代目（NC型：2018年～）

2018年、待望の2代目エルティガが登場しました。新プラットフォーム「HEARTECT」を採用し、初代と比べて全長を延長。室内空間と荷室空間の拡大を実現しました。エンジンは、新開発の1.5Lガソリンエンジンに刷新。環境性能と力強さの両立を追求しました。2代目はインドネシアでの発表を皮切りに、順次、各国で販売が開始されています。

2代目では、エルティガをベースとした派生モデルも登場しています。NEXAチャネル向けの高級モデル「XL6」、そしてインドネシア市場向けのクロスオーバーSUVモデル「XL7」です。これにより、エルティガシリーズは、より幅広い顧客層へアプローチできるようになりました。また、インド市場では、法人向けに装備を簡素化した「TOUR M」も販売されています。近年は、環境性能への配慮も強まり、タイ市場ではハイブリッドシステムを搭載した「SMART HYBRID」モデルも登場しています。

車名の由来

エルティガという車名は、インドネシア語に由来しています。「ER」は「R」、「TIGA」は「3」を意味し、コンセプトモデル「コンセプトR3」に由来しています。

まとめ

エルティガは、スイフトのプラットフォームをベースにしながらも、3列シート7人乗りという独特の車格と、広い室内空間、そして多様なエンジンバリエーションによって、アジアを中心とした多くの国々で高い人気を獲得しています。多様なニーズに対応するグローバルモデルとして、今後もスズキの戦略において重要な役割を果たしていくでしょう。

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