スタリ・ラス

スタリ・ラス：中世セルビアの古都

スタリ・ラス（Стари Рас / Stari Ras）は、中世セルビアの国家ラシュカの初期の首都の一つであり、長きにわたって重要な役割を果たした都市です。「スタリ・ラス」（古いラス）は、この旧都を指す現代の呼称であり、当時は単に「ラス」と呼ばれていました。現在のラシュカ地方に位置し、中世セルビアの中心に存在していました。この地を中心に、国家は拡大していきました。

歴史

ラスの建造は9世紀から10世紀の間に行われましたが、13世紀には人が住まなくなりました。ラシュカ峡谷沿いの当時のセルビアにおける地理的要衝に位置し、アドリア海とゼタ公国を結ぶだけでなく、西のボスニアと東のコソボを結ぶ役割も担っていました。

建造物と現状

スタリ・ラスには、要塞、聖堂、修道院などの印象的な中世の建造物群が存在します。特にソポチャニ修道院は、西ヨーロッパ世界と東ローマ帝国の交流を彷彿とさせる貴重な存在です。しかし、現在のスタリ・ラスは、城壁もほとんど崩れ落ち、野ざらしになった遺跡群としてその姿を晒しています。

すぐそばにはノヴィ・パザル（Novi Pazar）の町がありますが、この町はスタリ・ラスが廃れた後に、その代替となる居住地として発展し始めたと考えられています。

保護と復元

スタリ・ラスの遺跡群の復元計画も存在しており、既に近隣のソポチャニ修道院などとともにユネスコの世界遺産に登録され、保護されています。12世紀のスタリ・ラス修道院の修復も進められており、世界遺産への拡大登録も視野に入れられています。

スタリ・ラスは、同じくセルビアの世界遺産の一つであるストゥデニツァ修道院からもそれほど遠くない場所に位置しています。

スタリ・ラス