スタンションポール

スタンションポールの概要

公共交通機関で使用されるスタンションポール（Stanchion pole）は、電車やバスの車両内に設置されている縦向きの手摺で、立っている乗客や座っている乗客が安全に入退室したり移動したりする際の補助を目的としています。これにより、乗客は移動中に姿勢を保持しやすく、安全に乗車することが可能になります。

スタンションポールは、鉄道車両やバスの客室内にあたり、乗客がどの高さでも掴むことができるように、床から天井までの高さを持つのが一般的です。この設計は、全ての乗客が安心して掴むことができるため、特に通勤形の車両や路線バスには不可欠な装備とされています。さらに、非常に剛性が高いことから、多数の乗客が同時に使用しても安全を確保できるようになっています。

様々な設置状況

以前は、スタンションポールと言うと、特に出入口広場の中央に設置されたものを指していましたが、近年ではその意味合いが拡大され、ロングシートの分割や袖仕切り、網棚と組み合わせたデザインのスタンションポールも含まれるようになりました。ただし、ライトレールや路面[[電車]]、または一部の路線バスでは、車両の設計上、フロア全体にスタンションポールを設置するのが難しいため、少数のポールが設けられることが多いです。

例を挙げると、日本のバスでは、かつては座席周辺に限られていたつかみ棒が、現在ではラッシュ時の混雑対策として様々な場所に設置されるようになっています。海外の路線バスでは進行方向に向かった座席の背もたれ上部に設置されることも一般的です。また、これらのスタンションポールは通常、視認性が高い黄やオレンジなどの警告色で塗装されています。

スタンションポールの歴史

スタンションポールの歴史は古く、パリのメトロの車両では座席背もたれの通路寄りに多くのつかみ棒が設置されていました。日本でも昭和初期には、東京地下鉄道の電車にスタンションポールが導入され、その役割が広がっていきました。日本の鉄道省でも、同じ時期に電車に導入され、様々なモデルの車両に広がっていきました。

特に、戦後日本の通勤ラッシュの進行に伴って、スタンションポールの重要性は増していきました。しかし、混雑の中では、スタンションポールが原因で乗客が圧迫され、骨折などの事故を引き起こすという問題もありました。1980年代には、新性能電車においてスタンションポールの設置が見直され、一時期は新製車両から姿を消しますが、その後の改良によって再び採用されました。

日本の鉄道での採用例

日本では、スタンションポールは多くの車両に搭載されています。代表的な例には、東京地下鉄道1000形電車や国鉄30系、72系電車、そしてJR東日本の209系電車やE231系電車などがあります。

スタンションポールは、乗客の安全と快適さを確保するために重要な役割を果たしており、今後も公共交通機関の利便性を向上させるために進化していくことでしょう。

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