スタンド (ジョジョの奇妙な冒険)

スタンドとは

『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズに登場する「スタンド」は、超能力を具現化したもので、持ち主の傍らに現れて様々な超常的な能力を発揮する存在です。スタンドは、持ち主を守ったり、攻撃に使われたりする、守護霊のような役割を果たします。漢字では「幽波紋」と表記されることもあります。

概要

スタンドは、作者の荒木飛呂彦氏によれば、超能力を視覚的に表現したものです。従来、超能力の影響は物体に現れる形で描写されていましたが、スタンドは超能力そのものに姿を与え、視覚的に表現することを可能にしました。このことにより、超能力がより具体的に、そして説得力をもって描かれるようになりました。

荒木氏は、インタビューで「念じるだけで物が壊れるのではなく、何かが出てきて物を壊す」という表現を求めたと述べています。これは、スタンドが単なる抽象的な概念ではなく、具体的な存在として物語に登場することを意味します。

名称の由来

スタンドという名前は、Part3でジョセフ・ジョースターが、ヴィジョンが使い手の「傍に立つ（Stand by me）」ことから名付けたと説明しています。しかし、Part7ではマウンテン・ティムが、敵や困難に「立ち向かう（stand up to）」ためのものと説明しています。命名者は作中では明確にされていません。DIOがスタンドと名付けたという描写もありますが、確定的なセリフではありません。

一説には、DIOやエンヤ婆が名付けた名称を、ジョセフが念写能力で知り、使用するようになったという見解もあります。Part7ではティムが命名しましたが、他のキャラクターもスタンドという名称を使用しています。初期には、空条承太郎がスタンドを「悪霊」と表現していました。

スタンドの名前は、Part3ではタロットカードの大アルカナや色から、それ以降のシリーズでは洋楽のアーティスト名、曲名、アルバム名から取られることが多いです。また、歴代ジョジョのスタンドには鉱物の名前が含まれていることも特徴です。これは作者が意図的に入れているものとされています。

スタンド使い

スタンドを使える者は「スタンド使い」や「スタンド能力者」、「本体」と呼ばれます。スタンド使い同士は「引かれ合う」とされており、自然と集まる傾向があります。基本的には、自分のスタンド能力を秘密にし、スタンドを知られることは弱点を晒すことになるとされています。

敵は、スタンド使いであることを隠して近づき、奇襲を仕掛けることが常套手段です。そのため、主人公側は敵の能力を見破り、攻略する必要があります。しかし、中にはリンゴォ・ロードアゲインのように、あえて能力を明示するスタンド使いも存在します。スタンドは超能力であるため、法律や警察の範疇外であり、悪用しても罪に問うことはできません。

スタンドのルール

スタンドは「生命エネルギーが作り出すパワーある像」と定義されています。以下に、スタンドの基本的なルールを説明します。

1人につき1体

原則として、1人のスタンド使いが複数のスタンドを同時に持つことはありません。ただし、アヌビス神のように強制的にスタンドを押し付けられたり、スタンドDISCを挿入することで、一時的に2つのスタンドを持つことはあります。また、複数個のヴィジョンで1つのスタンドと数えられる例もあります。

DIOのように、肉体と頭が別人の場合、2つのスタンドを持つこともあります。

固有の特殊能力

スタンドは、持ち主の性格、願望、才能などが能力に昇華されたものです。能力は攻撃的なものだけでなく、念写や自然現象への干渉など多岐にわたります。同じ能力を持つスタンドは基本的に存在しませんが、可能性は否定されていません。

スタンド能力は遺伝することがありますが、スタンド自体は本人に固有のものです。血縁者同士でスタンドの特徴が似通うこともあれば、全く異なることもあります。

スタンド使い同士は、スタンドを介してテレパシーのような会話が可能です。

スタンドを見れるのはスタンド使いのみ

スタンドは、スタンド使いにしか見ることができません。これが、スタンド能力が世間一般の超能力とみなされる理由の一つです。しかし、物質と同化しているスタンドは、スタンド使いでなくても見ることが可能です。また、スタンド能力を未発現の資質を持つ者も、稀にスタンドを視認できることがあります。

スタンドのヴィジョンは「エネルギーの形」であるため、背景が透けて見えることがあります。また、スタンドが出す音も、基本的にはスタンド使いにしか聞こえません。しかし、能力によっては、スタンド使い以外でも音を知覚できることがあります。

スタンドに触れることができるのはスタンドだけ

スタンドに直接触れることができるのは、スタンドのみです。スタンドは、物体に自由に触れることができますが、物質透過には限度があります。スタンドはスタンドでしか倒せないと言われることがありますが、本体を直接攻撃することでも攻略は可能です。

スタンドは本体の意思で動く

スタンドは、基本的に本体の意思で動きます。意思の反映度はスタンドによって異なり、自動操縦型のように、簡単な命令しかできないものもあります。また、スタンド自体が自我を持つケースもあります。本体の精神力が不足すると、スタンドが暴走することもあります。

シルバーチャリオッツ・レクイエムのように、魂と共にスタンドが別人の肉体に移る場合もあります。

スタンドが傷つけば本体も傷つき、本体が傷つけばスタンドも傷つく

スタンドは、本体の生命力が具現化したものであるため、スタンドが傷つくと本体も傷つきます。逆もまた然りです。ただし、群体型スタンドはダメージが分散する特性があります。本体が意識を失うとスタンドを出すことができなくなります。

射程距離

スタンドには、本体から離れて行動できる距離に上限があります。射程距離とスタンドの力は反比例の関係にあり、遠距離まで行けるスタンドは力が弱く、近距離のスタンドは力が強い傾向にあります。自動操縦型のスタンドは、遠距離でも強い力を発揮できる特性があります。

スタンドは成長する

スタンドは、使い手の精神的な成長や外的要因によって、新しい能力に目覚めることがあります。外見も変化することがあります。訓練によって、スタンドのスピードや射程距離、精密動作性を向上させることも可能です。

スタンド能力の発現条件

スタンド能力は、一部の人間しか持つことができません。その発現方法は以下の通りです。

生まれつき、または突然身につく
血縁者の影響を受ける
スタンドの矢で射抜かれる
スタンドDISCを挿入される
土地のエネルギーの影響を受ける

スタンドの矢は隕石と密接な関係があり、矢に刺されると能力が発現するとされています。また、スタンドは闘争心に反応して現れるため、穏やかな性格の人間がスタンド能力を得ると、害を及ぼすことがあります。

スタンドのタイプ

スタンドには、能力や外見による分類が存在します。

外観による分類

人型: 人間のような外見を持つスタンド
人型でない: 生物や機械など、人間以外の外見を持つスタンド
生物的なもの: 生物に近い特徴を持つスタンド
メカニカルなもの: 機械的な特徴を持つスタンド

能力による分類

近距離タイプ: 近距離で強力なパワーを発揮するスタンド
遠隔タイプ: 遠距離から操作できるスタンド
現象タイプ: 特殊な現象を引き起こすスタンド

パワー分類

近距離パワー型: 射程距離は短いが、破壊力が高いスタンド
遠隔操作型: 射程距離が長く、遠距離からの操作が得意なスタンド
自動操縦型: 本体がコントロールしないスタンド。長射程で強力な攻撃が可能。
自立・独り歩きしているもの: 本体が死亡後も活動するスタンド
広範囲に作用するもの: 広範囲に影響を及ぼすスタンド

形状分類

人間型: 人間と同じく四肢を持つスタンド
非生物型: 生物以外の形態を持つスタンド
群体型: 複数の個体が1つのスタンドとして機能する
分裂するもの: 一部の能力を分裂させて使えるスタンド
本体と一体化しているもの: スタンドと本体が一体化している
本体が身にまとうもの: スタンドが鎧のように本体を包み込む
道具: 道具や武器として使用するスタンド
物質と同化するもの: 実体のあるものと同化しているスタンド
不定形: 液体や砂など不定形な形を取るスタンド
ヴィジョンがなく能力のみのもの: スタンドの姿が見えず、能力のみが発現する

スタンドパラメータ

スタンドの能力は、「破壊力」「スピード」「射程距離」「持続力」「精密動作性」「成長性」の6つのパラメータで評価されます。

破壊力: スタンドの攻撃力
スピード: スタンドの動作速度
射程距離: スタンドが活動できる範囲
持続力: スタンド能力を維持できる時間
精密動作性: スタンドの精密な動き
成長性: スタンドが成長する可能性

これらのパラメータは、スタンドの能力を比較する上での目安となりますが、実際の戦いでは、敵の能力を見破り、攻略することがより重要になります。

各部ごとのスタンド一覧

スタンドは、『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ全体にわたって登場します。各部ごとに、特徴的なスタンドが登場しています。

Part3：タロットカードやエジプト9栄神に由来するスタンドが登場します。
Part4：弓と矢によってスタンド能力に目覚めた者が多く登場します。
Part5：レクイエムという特殊なスタンドが登場します。
Part6：スタンドDISCによって能力を得た者が多く登場します。
Part7：スタンド自体が肉弾戦を行うことは少なく、特殊能力が主体です。
Part8：岩人間という種族が登場し、彼らもスタンド能力を有します。
Part9：新たなスタンドが登場します。

スピンオフ・メディアミックス作品のスタンド

漫画、小説、ゲームなど、様々なスピンオフ作品にもスタンドが登場しています。

参考文献

ジョジョの奇妙な冒険単行本
JOJO A-GO!GO! DISC.2 STANDS
JOJOVELLER STANDS
ユリイカ2007年11月臨時増刊号　特集荒木飛呂彦

スタンドは、『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズにおいて、物語を彩る重要な要素です。その多様な能力と複雑なルールは、作品を深く理解するための鍵となります。

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