スター48

スター48は、サイオコール社（後にATKランチ・システムズ・グループとなる）によって開発・製造された高性能な固体燃料ロケットです。主に、人工衛星や探査機を最終的な軌道、特に静止軌道のような高い軌道へ投入するための上段ステージとして使用されます。

「48」という名称は、その固体燃料部分のおよその直径に由来しています。派生型が登場する際には、基本的な数字「48」に続けて、社内整理用の文字や番号（例：「-2」）が付加されることが一般的です。サイオコール社内では、初期にはTE-M-711、後にはTE-M-799という内部分類番号が用いられていました。この番号の接頭辞「T」はサイオコール社を示し、続く文字「E」はロケットエンジン開発部門の所在地であるメリーランド州エルクトン（Elkton, Md）を表しています。サイオコール社はスター48以外にも、スター37やスター40といった他の固体燃料ロケットも開発しています。

スター48が最も頻繁に利用されたのは、スペースシャトルやデルタIIロケットの上段としてでした。スペースシャトルは低軌道にしか到達できないため、それよりも高い軌道へ衛星を運ぶ際には、「ペイロード・アシスト・モジュール (PAM)」と呼ばれる装置に組み込まれたスター48が使用されました。デルタIIでも、同様に上段ロケットとして多数の打ち上げに貢献しています。これらの主要な使用例以外にも、他の種類のロケットで用いられることもありますが、その頻度は低い傾向にあります。

静止軌道など、最終的に高い軌道へペイロードを送り届ける任務において、スター48は重要な役割を担います。このようなミッションでは、スター48はスピン安定式のロケットとして機能します。衛星と結合したスター48は、スペースシャトルのカーゴベイやデルタロケットの先端部から放出される直前に、専用のターンテーブルを使って毎分およそ60回転という高速で回転させられます。このスピンによって、固体燃料モーターが燃焼している間の機体の姿勢が安定します。エンジンの燃焼が終了した後、通常型のスター48では「ヨーヨーデスピン」と呼ばれる技術を用いて回転を停止させます。これは、本体からワイヤーの先に付いた重りを放出することで、その反作用を利用して回転を打ち消す方法です。回転停止後、ペイロードである衛星が安全に分離されます。

スター48にはいくつかの派生型も存在します。例えば、「スター48V」は、噴射中に機体の姿勢を3軸で制御することを可能にするための推力偏向ノズルを備えています。この型式は、1995年に打ち上げに失敗したコネストガロケットや、ミノタウロスIV+ロケットの上段として使用されました（ただし、2013年時点では使用例はこの2回のみと報告されています）。また、「スター48BV」は、デルタIIロケットの3段やPAMで使用されたスター48Bをベースに、推力偏向式のノズルを採用したタイプです。このスター48BVは、アンタレスロケットのオプションとして利用可能な第3段として提供されています。

具体的な打ち上げ実績としては、NASAの冥王星探査機であるニュー・ホライズンズの打ち上げが挙げられます。この探査機は2006年にアトラスVロケットで打ち上げられましたが、その第3段としてスター48Bモーターが使用されました。スター48Bはニュー・ホライズンズを太陽系外へ加速させた後、探査機本体よりも先に木星軌道に到達しました。ニュー・ホライズンズはその後も飛行を続け、2015年には冥王星の軌道と交差し、200百万km以内まで接近することに成功しました。また、1993年にGPS衛星の打ち上げに使用されたスター48PAMの機体の一つは、ミッション終了後に大気圏に再突入し、2001年1月にサウジアラビアの砂漠に燃え尽きずに落下した事例も記録されています。

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