ペイロード・アシスト・モジュール

ペイロード・アシスト・モジュール（Payload Assist Module, PAM）は、アメリカで開発されたモジュール式の上段ロケットです。チオコール社（現ATKランチ・システムズ・グループ）のスターシリーズ固体燃料ロケットモーターを使用し、スペースシャトル、デルタロケット、タイタンロケットの上段として活躍しました。

PAMの主な役割は、人工衛星を低軌道から静止トランスファ軌道へ投入することや、惑星探査機を惑星間航行コースに乗せることでした。スペースシャトルから打ち上げる際には、ペイロードはPAMを搭載したターンテーブルによって放出前に回転を与えられ、スピン安定化が図られました。

スペースシャトル向けに独自開発されたPAMに加え、以下の4つの派生型が存在しました。

PAM-A (アトラス級): アトラスロケットとスペースシャトルでの使用を想定して開発されましたが、開発は中止されました。最大4,400ポンド（約2,000kg）の衛星打ち上げ能力を持つ予定でした。
PAM-D (デルタ級): スター48固体燃料ロケットモーターを使用し、最大2,750ポンド（約1,250kg）の衛星打ち上げに対応しました。
PAM-D2 (デルタ級): スター63ロケットモーターを使用し、最大4,150ポンド（約1,880kg）の衛星打ち上げに対応しました。
PAM-S (スペシャル): 宇宙探査機ユリシーズのキックモーターとして開発されました。

PAM-Dモジュールは、デルタIIロケットの三段目として開発され、現在も使用されている唯一の派生型です。

PAM-Sは、1990年10月6日にスペースシャトル・ディスカバリーのSTS-41ミッションで、探査機ユリシーズを打ち上げる際のIUS噴射後のキックモーターとして使用されました。このミッションでの使用が、PAM-Sにとって唯一の事例となっています。

興味深い出来事として、1993年にUSA-91 GPS衛星の打ち上げに使用されたPAM-Dステージが、軌道減衰を起こし、2001年1月12日にサウジアラビアの砂漠地帯に落下しました。落下物は実際に地上で確認されています。

参考文献

Payload Assist Module at the NASA Shuttle Reference Manual
Payload Assist Module at GlobalSecurity.org

関連項目

人工衛星の軌道
人工衛星の軌道要素
静止トランスファ軌道
静止軌道
近点・遠点
アポジキックモーター

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