スチューデント・オブ・ザ・イヤー狙え!No.1!!

2012年にインドで公開された青春ロマンティック・コメディ映画、『スチューデント・オブ・ザ・イヤー狙え!No.1!!』（原題：Student of the Year）は、カラン・ジョーハルが監督を手がけた作品です。制作は、監督自身が経営するダルマ・プロダクションと、俳優シャー・ルク・カーンが運営するレッド・チリーズ・エンターテインメントが共同で行いました。

本作は、主要キャストとしてシッダールト・マルホートラ、ヴァルン・ダワン、アーリヤー・バットの3人を大抜擢しました。彼らにとって、この映画が記念すべき映画デビュー作となります。その他、リシ・カプール、サナー・サイード、ローニト・ローイ、サヒール・アナンド、ラーム・カプール、ファリーダー・ジャラールといった実力派俳優が脇を固め、ボーマン・イラニ、カジョール、ファラー・カーン、ヴァイバヴィ・メルチャントらが特別出演し、物語に彩りを添えています。

キャスト

物語の主軸を担うのは、以下のキャスト陣です。

アビマニュ・シン（アビ） - シッダールト・マルホートラ
ロハン・ナンダー（ロー） - ヴァルン・ダワン
シャナーヤ・シンガニア - アーリヤー・バット
ターニャ・イスラニ - サナー・サイード
* ヨギンデル・ヴァシシュト校長 - リシ・カプール

その他、ジェート・クラナ役のサヒール・アナンド、シュルティ・パターク役のマーナシー・ラチ、スードー役のカヨーゼ・イラニ、ディンピー役のマンジョット・シンガらが学生役で登場します。また、アビやロハン、シャナーヤの家族や関係者として、シャー役のローニト・ローイ、アショーカ・ナンダ役のラーム・カプール、ギャヤトリ・ナンダ役のゴウタミ・カプール、アビの祖母役のファリーダー・ジャラール、アビの叔父役のアクシャイ・アナンド、アビの叔母役のマニーニ・ミシュラ、シャーの妻役のプラチー・シャー・パンダ、シャナーヤの母役のナンディーニ・センなどが出演しています。特別出演では、ハリキシャン・サナン役のボーマン・イラニ、ヨギンダーの母役のスーシュマ・セートらが顔を見せています。

製作の舞台裏

映画の企画は2011年1月5日、カラン・ジョーハルが自身のTwitterでポスターを公開したことから始まりました。主演のシッダールト・マルホートラ、ヴァルン・ダワン、アーリヤー・バット、そしてカヨーゼ・イラニにとって、本作は映画界での第一歩となりました。特にマルホートラとダワンは、かつてジョーハル監督の別作品『マイネーム・イズ・ハーン』で助監督として制作に参加した経験を持っており、本作での抜擢は彼らにとって大きな飛躍となりました。

撮影はインド各地で行われ、特にカシミール地方やウッタラカンド州のデヘラードゥーンが主要なロケーションとなりました。学園のシーンは、デヘラードゥーンにあるカシガ学校を借りて撮影され、劇中では「聖テレーザ学園」として描かれています。また、病院のシーンはシュリーナガルのラリット・グランド・パレスで撮影されたほか、一部シーンは海外のタイ王国でも撮影が行われました。学生たちのスポーツ・アクションシーンについては、スポーツ映画『Chak De! India（インド、勝利！）』にも参加したリール・スポーツのロブ・ミラーが指導を担当し、本格的な描写が追求されました。

映画の予告編は2012年8月2日に公開され、その後ジョーハル監督はTwitterで同年10月19日に公開予定であることを発表しました。

プロモーション活動

映画の公開に向けて、大々的なプロモーション活動が展開されました。タタ・モーターズはプロモーションパートナーとして、インド国内の学生を対象とした「ナノ・スチューデント・オブ・ザ・イヤー」コンテストを実施しました。このコンテストでは、学力、文化、スポーツ、社会活動など多角的に学生が審査され、優秀者8名が最終選考に進出するという内容でした。この企画は2012年9月に行われ、学生たちの関心を惹きつけました。同様に、フェデックス・エクスプレスも、海外で高等教育を目指すインド人学生向けの「フェデックス・インターナショナル・スチューデント・オブ・ザ・イヤー」コンテストを開催し、映画のターゲット層に向けたアピールを行いました。さらに、人気テレビ番組『Kaun Banega Crorepati』や、ソニー・エンターテインメント・テレビジョン、Jhalak Dikhhla Jaa、ヴァイアコム18の『Bigg Boss』といった様々なメディアでも積極的にプロモーションが展開されました。

映画の放送権については、ソニー・エンターテインメント・テレビジョンが別の作品『若さは向こう見ず』とセットで5億ルピーという巨額で取得しました。また、本作の音楽の権利はソニー・ミュージックが7000万ルピーで取得するなど、公開前から大きなビジネスが動いていました。

評価

興行収入

『スチューデント・オブ・ザ・イヤー狙え!No.1!!』は、公開初日から特に都市部のシネマコンプレックスで非常に強いスタートを切りました。初日の興行収入は7480万ルピーを記録し、2日目にはさらに収益を伸ばして8500万ルピーを上げました。公開から最初の週末3日間で合計2億5300万ルピーの収益を達成し、最初の1週間で累計4億3100万ルピーを稼ぎ出しました。その後も堅調な推移を見せ、公開第2週末までに8000万ルピーを追加し、公開第3週には累計6億3300万ルピーに達しました。最終的に、公開第4週の時点で国内の累計興行収入は7億ルピーを突破し、商業的な成功を収めました。

一方で、海外市場では300スクリーンで公開されましたが、最初の興行収入は125万ドルに留まりました。その後の伸びも限定的で、公開10日目の累計収益は185万ルピーと伸び悩み、最終的な海外興行収入は100万ドル台をわずかに超える程度で、国内ほどの成功とはなりませんでした。

批評家の反応

批評家からの評価は概ね好意的でした。ボリウッド・ハンガマのタラン・アダルシュは4/5の星を与え、「カラン・ジョーハルの熟練した手腕により、新鮮で現代的な学園ラブストーリーが描かれている。これは最高の逃避映画であり、ジョーハル作品の中でも傑出した一本だ」と絶賛しました。コマル・ナータも4/5の高評価を与え、「最高のエンターテインメント作品」と称賛。フィルムフェアのラディタ・タンドンは、「監督の世界観は壮大で現実離れしているが、心を揺さぶる瞬間も存在する」と述べ、4/5の星をつけました。Indicineは3.5/5の評価で、「ロマンス、アクション、エンターテインメント、演技、音楽と全てが揃っており、退屈な瞬間がない」と評しました。

IBNLiveのラジーヴ・マサンドは3/5の星を与え、「技量のある監督による非常に心地良い作品で、楽しさを求める観客を失望させない」とコメントしました。ヒンドゥスタン・タイムズのアヌパマ・チョープラーも3/5の評価で、「ジョーハル監督の強みである過剰さ、つまり美しいキャストと豪華な設定で感情を描く手法が見られる。デザイナー・ポルノやソープオペラのようだが、キャストの演技は称賛に値する」と述べました。Rediff.comのスカニヤ・ヴェルマは「『何かが起きてる』ほどではないが、カラン・ジョーハルは本作を良く見せている」と評し、3/5の星を与えました。ファースト・ポストのルビーナ・A・カーンは「彼の最高の仕事とは言えないが、監督の精巧さと広大な要素は含まれている」と述べ、3/5の評価でした。Oneindiaのナバニータは3/5の評価で「若々しく面白く、観る価値がある」とコメント。インディア・トゥデイとSifyもそれぞれ3/5の評価を与え、Sifyは「知性や感性を害さない楽しい映画で、観る価値がある」と結論づけました。デイリー・ニュース＆アナライシスのカニタ・シッタは2.5/5とやや辛めの評価ながらも、「キャストの演技が映画に素晴らしい価値を与えている」と付け加えています。

全体として、特に主演を務めた若手俳優たちの演技や、カラン・ジョーハル監督らしい華やかでエンターテインメント性の高い演出が高く評価される傾向にありました。

受賞・ノミネート

本作はいくつかの映画賞でノミネートや受賞を果たしましたが、詳細な情報は本稿執筆時点では提供されていません。

この映画は、ボリウッドにおける学園映画の新たな潮流を作り出し、主演の3人をスターダムへと押し上げる重要な作品となりました。

もう一度検索

スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え!No.1!!