デヘラードゥーン

デヘラードゥーンの概要

デヘラードゥーン（ヒンディー語: देहरादून [d̪eːɦ.ɾäː.d̪ũːn̪]、英語: Dehradun）は、インドのウッタラーカンド州に位置する冬の州都です。人口は約80万人（2020年時点）で、都市圏人口は約137万人（2021年時点）を擁し、ヒマラヤ山脈の都市としてはカトマンズに次ぐ規模を誇ります。2000年にウッタラーカンド州が成立した際、暫定的な州都となりました。その後、2020年にデヘラードゥーンが冬の州都、ゲールセーンが夏の州都と正式に定められました。

日本語では「デーラドゥン」や「デラドゥン」とも表記されます。

歴史

デヘラードゥーンの起源は、1676年にシク教のグル・ハル・ラーイの息子であるラーム・ラーイが設立した宿営地に遡ります。当時、この地はガルワール王国に属しており、ラーム・ラーイはドゥーン渓谷の一部を寄贈されました。宿営地（デラ）が作られたことから、その周辺に発達した町はデーラー・ドゥーンと呼ばれるようになりました。

デヘラードゥーンには、ラーム・ラーイを祀る寺院（グルドワーラー）が存在し、毎年ホーリーの5日後には、シク教の重要な祭りであるジャンダー・メーラ（旗祭り）が開催されます。

18世紀にはローヒラー族の支配下で大きく発展しました。その後、支配者が何度も交代し、19世紀にはゴルカ王国の支配を経て、スガウリ条約によってイギリスの統治下に入りました。イギリス統治下では、1900年にハリドワールとの間に鉄道が開通し、リゾート地として発展しました。

第二次世界大戦中には、郊外にイタリア人やドイツ人を収容する施設が建設され、作家のハインリヒ・ハラーも収容されていました。また、1964年にはネルー首相が心臓発作後の療養のためデヘラードゥーンを訪れました。

2000年にウッタラーカンド州が成立した際、デヘラードゥーンは暫定州都となりましたが、州都をめぐる議論が続きました。2008年の調査委員会では、デヘラードゥーンが最も適当であると結論付けられ、2020年に正式に冬の州都となりました。夏の州都はゲールセーンです。インドでは、夏と冬で州都が異なるのはジャンムー・カシミール州に次いで2例目です。

観光

デヘラードゥーンは、マスーリーなどの避暑地や著名な寺院など、多くの観光スポットがあります。

特に、チベット仏教の亡命ミンドルリン寺や、ダライ・ラマ14世に捧げられた巨大な仏像は有名です。

気候

デヘラードゥーンは、ケッペンの気候区分では温帯に属し、冬季、暑季（夏季）、雨季の3つの季節に分かれています。

冬季は、最低気温が10℃を下回る日が多く、冷涼で適度な降水量があります。市街地で雪が降ることは稀です。夏季は5月頃に最も暑く乾燥し、35℃を超える日も多くなります。

6月中旬から9月にかけては本格的な雨季となり、特に7月と8月はインドでも有数の降水量を記録します。雨季中は高温多湿な日が続きます。

交通

航空
ジョリー・グラント空港（IATAコード：DED）が市街から南東に22kmの場所に位置しています。

スポーツ

2011年には南アジア冬季競技大会が開催され、開会式、アイススケート、アイスホッケーがデヘラードゥーンで行われました。スキー競技は近郊のアウリで開催されました。

ゆかりの人物

シュリヤ・サラン - 女優、モデル
ムハンマド・ナーディル・シャー - アフガニスタンの国王
* アシュワニ・グプタ - 日産自動車最高執行責任者

デヘラードゥーンは、歴史と自然が調和した魅力的な都市であり、観光や文化体験を楽しむことができます。

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