スティーブ・ハンセン
スティーブン・ハンセンは、1959年5月7日にニュージーランドのダニーデンで生まれた、世界的に名高いラグビー指導者です。ラグビーニュージーランド代表、通称オールブラックスのヘッドコーチとして前人未踏のワールドカップ連覇を含む輝かしい実績を残し、現在はジャパンラグビーリーグワンに所属するトヨタヴェルブリッツでディレクターオブラグビーを務めています。
クライストチャーチ・ボーイズ・ハイスクールなどを卒業後、現役時代はセンターやフルバックとしてプレーしました。カンタベリー州代表として15年間のキャリアを積んだものの、残念ながらオールブラックスのジャージに袖を通す機会はありませんでした。彼の真価が発揮されるのは、選手としてではなく、指導者としての道を選んでからです。
プロのラグビーコーチとなる前は、ニュージーランド警察の警察官として勤務していました。この異色の経歴から、しばしば「元警察官のハンセン」としてメディアで紹介されることがあります。警察官から転身後、指導者としてのキャリアはフランスのクラブ「ラ・ロシェル」での1年間からスタート。その後、王立ニュージーランド警察学院や国際ラグビーアカデミー（IRANZ）で指導経験を重ねました。
ニュージーランド国内に戻ると、1997年にカンタベリー州代表のアシスタントコーチに就任。バックス、後にフォワードを担当しました。2000年からは、クルセイダーズでもロビー・ディーンズのアシスタントとして2シーズンにわたりチームを支えました。同年にはジュニア・オールブラックスのアシスタントコーチとしても海外遠征を経験するなど、着実にステップアップしていきました。
2001年、グラハム・ヘンリー当時のウェールズ代表ヘッドコーチの誘いを受け、ウェールズ代表のアシスタントコーチに就任。翌2002年2月には、ヘンリーの退任に伴い、ウェールズ代表のヘッドコーチに昇格します。当初は苦難の連続で、シックス・ネーションズでは低迷し、11連敗を喫するなど厳しい時期を過ごしました。しかし、ラグビーワールドカップ2003では予選プールを突破し、準々決勝までチームを導きました（イングランドに敗退）。2004年6月にウェールズ代表を退任するまでの通算成績は31戦11勝20敗でした。
ウェールズでの経験を終えたハンセン氏は、2004年にグラハム・ヘンリーがオールブラックスのヘッドコーチに就任するのに伴い、フォワード担当のアシスタントコーチとしてニュージーランド代表に加わります。チームは順調に強化され、ラグビーワールドカップ2007ではプール戦を全勝で通過しましたが、準々決勝でフランスにまさかの敗北を喫しました。この後もヘンリーHC体制は継続され、ハンセン氏もアシスタントコーチとしてチームを支え続けました。そして、2011年のラグビーワールドカップでは、オールブラックスが見事24年ぶりの優勝を果たします。この成功にハンセン氏のアシスタントとしての貢献は計り知れません。
ワールドカップ優勝後、グラハム・ヘンリーHCが勇退を発表。彼の強い推薦もあり、2011年12月、スティーブン・ハンセン氏がオールブラックスの新しいヘッドコーチに就任することが決定しました。ジョン・ハート、グラハム・ヘンリーに続いて、選手としてオールブラックスに選ばれた経験がない3人目のHC誕生でした。
ヘッドコーチとして指揮を執った初年度の2012年シーズン、オールブラックスは圧倒的な強さを見せ、ラグビーチャンピオンシップ全勝優勝、ブレディスローカップ制覇を達成し、IRB年間最優秀監督賞を受賞しました。
2013年シーズンもその勢いは衰えず、ラグビーチャンピオンシップ、ブレディスローカップを連覇。特にこの年は、年間を通して全勝という記録的なシーズンとなりました。この功績により、ニュージーランド女王誕生日にはニュージーランド・メリット勲章が授与され、自身もIRB年間最優秀監督賞を二年連続で受賞しました。
2014年シーズンはオーストラリアとの引き分け、南アフリカへの敗戦もありましたが、チャンピオンシップとブレディスローカップは制覇。北半球遠征は全勝で終え、3シーズンでの好成績が評価され2017年までの契約延長に合意。ワールドラグビー年間最優秀監督賞も3度目の受賞となりました。
迎えた2015年、チームはラグビーワールドカップ連覇という歴史的偉業を目指しました。ワールドカップ本番では予選プールから決勝まで全勝。決勝でオーストラリア代表を破り、オールブラックスはワールドカップ史上初の2大会連続優勝を達成しました。ブレディスローカップも13期連続防衛に成功しました。
ワールドカップ優勝後もハンセン体制は続きました。2016年には2019年ワールドカップ終了までの契約延長に合意し、世代交代を進めます。ウェールズ代表とのシリーズ3連勝、ラグビーチャンピオンシップ全勝など快進撃は続きましたが、北半球遠征ではアイルランド代表に敗れ、連勝がストップしました。それでもブレディスローカップは14期連続防衛を果たし、ワールドラグビー年間最優秀監督賞も4度目の受賞となりました。
2018年シーズンもブレディスローカップ16期連続防衛を達成しましたが、北半球遠征で再びアイルランドに敗北を喫しました。この年の終わりに、2019年ワールドカップを最後にオールブラックスのヘッドコーチを退任することを発表しました。
ヘッドコーチとしての最後のシーズンとなった2019年、ザ・ラグビーチャンピオンシップでは南アフリカとの引き分けなどもありましたが、ブレディスローカップは17期連続防衛に成功しました。ワールドカップ直前には、日本の大分県別府市で1日警察署長を務め、警察官時代の経験を懐かしむ一幕もありました。ワールドカップ本番では準決勝でイングランドに敗れ、3連覇は叶いませんでしたが、3位決定戦で勝利し大会を終えました。
オールブラックス退任後、スティーブン・ハンセン氏は新たな挑戦の場として日本を選びました。2019年12月2日付けで、ジャパンラグビーリーグワン所属のトヨタヴェルブリッツのディレクターオブラグビーに正式に就任。世界最高峰の指導者としての知識と経験を、日本のラグビー界に還元しています。
選手としてはオールブラックスに届かなかったものの、指導者として世界の頂点を極めたスティーブン・ハンセン氏。その卓越した戦術眼、選手の潜在能力を引き出す手腕、そして揺るぎない信念は、ラグビー史にその名を深く刻んでいます。元警察官というユニークな背景を持つ彼のキャリアは、型破りでありながらも、目標達成に向けた粘り強さと規律の重要性を示唆していると言えるでしょう。日本での彼の活動は、リーグワンの発展にも大きく貢献することが期待されています。
クライストチャーチ・ボーイズ・ハイスクールなどを卒業後、現役時代はセンターやフルバックとしてプレーしました。カンタベリー州代表として15年間のキャリアを積んだものの、残念ながらオールブラックスのジャージに袖を通す機会はありませんでした。彼の真価が発揮されるのは、選手としてではなく、指導者としての道を選んでからです。
プロのラグビーコーチとなる前は、ニュージーランド警察の警察官として勤務していました。この異色の経歴から、しばしば「元警察官のハンセン」としてメディアで紹介されることがあります。警察官から転身後、指導者としてのキャリアはフランスのクラブ「ラ・ロシェル」での1年間からスタート。その後、王立ニュージーランド警察学院や国際ラグビーアカデミー（IRANZ）で指導経験を重ねました。
ニュージーランド国内に戻ると、1997年にカンタベリー州代表のアシスタントコーチに就任。バックス、後にフォワードを担当しました。2000年からは、クルセイダーズでもロビー・ディーンズのアシスタントとして2シーズンにわたりチームを支えました。同年にはジュニア・オールブラックスのアシスタントコーチとしても海外遠征を経験するなど、着実にステップアップしていきました。
2001年、グラハム・ヘンリー当時のウェールズ代表ヘッドコーチの誘いを受け、ウェールズ代表のアシスタントコーチに就任。翌2002年2月には、ヘンリーの退任に伴い、ウェールズ代表のヘッドコーチに昇格します。当初は苦難の連続で、シックス・ネーションズでは低迷し、11連敗を喫するなど厳しい時期を過ごしました。しかし、ラグビーワールドカップ2003では予選プールを突破し、準々決勝までチームを導きました（イングランドに敗退）。2004年6月にウェールズ代表を退任するまでの通算成績は31戦11勝20敗でした。
ウェールズでの経験を終えたハンセン氏は、2004年にグラハム・ヘンリーがオールブラックスのヘッドコーチに就任するのに伴い、フォワード担当のアシスタントコーチとしてニュージーランド代表に加わります。チームは順調に強化され、ラグビーワールドカップ2007ではプール戦を全勝で通過しましたが、準々決勝でフランスにまさかの敗北を喫しました。この後もヘンリーHC体制は継続され、ハンセン氏もアシスタントコーチとしてチームを支え続けました。そして、2011年のラグビーワールドカップでは、オールブラックスが見事24年ぶりの優勝を果たします。この成功にハンセン氏のアシスタントとしての貢献は計り知れません。
ワールドカップ優勝後、グラハム・ヘンリーHCが勇退を発表。彼の強い推薦もあり、2011年12月、スティーブン・ハンセン氏がオールブラックスの新しいヘッドコーチに就任することが決定しました。ジョン・ハート、グラハム・ヘンリーに続いて、選手としてオールブラックスに選ばれた経験がない3人目のHC誕生でした。
ヘッドコーチとして指揮を執った初年度の2012年シーズン、オールブラックスは圧倒的な強さを見せ、ラグビーチャンピオンシップ全勝優勝、ブレディスローカップ制覇を達成し、IRB年間最優秀監督賞を受賞しました。
2013年シーズンもその勢いは衰えず、ラグビーチャンピオンシップ、ブレディスローカップを連覇。特にこの年は、年間を通して全勝という記録的なシーズンとなりました。この功績により、ニュージーランド女王誕生日にはニュージーランド・メリット勲章が授与され、自身もIRB年間最優秀監督賞を二年連続で受賞しました。
2014年シーズンはオーストラリアとの引き分け、南アフリカへの敗戦もありましたが、チャンピオンシップとブレディスローカップは制覇。北半球遠征は全勝で終え、3シーズンでの好成績が評価され2017年までの契約延長に合意。ワールドラグビー年間最優秀監督賞も3度目の受賞となりました。
迎えた2015年、チームはラグビーワールドカップ連覇という歴史的偉業を目指しました。ワールドカップ本番では予選プールから決勝まで全勝。決勝でオーストラリア代表を破り、オールブラックスはワールドカップ史上初の2大会連続優勝を達成しました。ブレディスローカップも13期連続防衛に成功しました。
ワールドカップ優勝後もハンセン体制は続きました。2016年には2019年ワールドカップ終了までの契約延長に合意し、世代交代を進めます。ウェールズ代表とのシリーズ3連勝、ラグビーチャンピオンシップ全勝など快進撃は続きましたが、北半球遠征ではアイルランド代表に敗れ、連勝がストップしました。それでもブレディスローカップは14期連続防衛を果たし、ワールドラグビー年間最優秀監督賞も4度目の受賞となりました。
2018年シーズンもブレディスローカップ16期連続防衛を達成しましたが、北半球遠征で再びアイルランドに敗北を喫しました。この年の終わりに、2019年ワールドカップを最後にオールブラックスのヘッドコーチを退任することを発表しました。
ヘッドコーチとしての最後のシーズンとなった2019年、ザ・ラグビーチャンピオンシップでは南アフリカとの引き分けなどもありましたが、ブレディスローカップは17期連続防衛に成功しました。ワールドカップ直前には、日本の大分県別府市で1日警察署長を務め、警察官時代の経験を懐かしむ一幕もありました。ワールドカップ本番では準決勝でイングランドに敗れ、3連覇は叶いませんでしたが、3位決定戦で勝利し大会を終えました。
オールブラックス退任後、スティーブン・ハンセン氏は新たな挑戦の場として日本を選びました。2019年12月2日付けで、ジャパンラグビーリーグワン所属のトヨタヴェルブリッツのディレクターオブラグビーに正式に就任。世界最高峰の指導者としての知識と経験を、日本のラグビー界に還元しています。
選手としてはオールブラックスに届かなかったものの、指導者として世界の頂点を極めたスティーブン・ハンセン氏。その卓越した戦術眼、選手の潜在能力を引き出す手腕、そして揺るぎない信念は、ラグビー史にその名を深く刻んでいます。元警察官というユニークな背景を持つ彼のキャリアは、型破りでありながらも、目標達成に向けた粘り強さと規律の重要性を示唆していると言えるでしょう。日本での彼の活動は、リーグワンの発展にも大きく貢献することが期待されています。
もう一度検索
【記事の利用について】
タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。
【リンクついて】
リンクフリーです。