スティーブ・ライト

スティーブ・ライト：ヨーロッパと日本のリングを彩った技巧派レスラー

スティーブ・ライトは、1953年12月24日（または1952年12月12日）にイギリスのチェシャー州ウォリントンで生まれた元プロレスラーです。洗練されたレスリング技術と軽業のようなアクロバティックな動きを武器に、ヨーロッパと日本、特に新日本プロレスのリングで活躍しました。

華麗なるキャリアの幕開けと新日本プロレスでの活躍

ライトはビリー・ライリー・ジムでトレーニングを積み、1969年に英国でデビュー。その後、1972年には西ドイツへと渡り、AWA世界ヘビー級王者バーン・ガニアとも対戦するなど、国際的なキャリアをスタートさせます。メキシコやアメリカのNWAにも遠征し、経験を積んでいきます。

1975年、ライトは新日本プロレスに初来日。以降、同団体の常連外国人選手として活躍します。クルト・フォン・ストロハイムの負傷による代役としてパット・パターソンとタッグを組み、北米タッグ王座に挑戦するなど、数々の重要な試合を経験しました。タイガーマスクとも対戦し、その高い技量で日本のプロレスファンを魅了しました。

カナダのカルガリー地区や、新日本プロレスのMSGシリーズにも参戦し、ダイナマイト・キッドとの激闘や、タイガーマスクとの名勝負は今も語り継がれています。木戸修はライトについて「自分が戦ったレスラーの中で一番上手かった」と評するほど、その実力は高く評価されていました。

ドイツでの成功とCWA世界ミドル級王座

1980年代以降はドイツのニュルンベルクを拠点に活動。ポール・バーガーやアルフレッド・ジーグラーのプロモーションに参加し、1985年にはオットー・ワンツ主宰のCWAにて、空位となっていたCWA世界ミドル級王座を獲得します。

その後、マーク・ロコ、トム・プリチャード、そして新日本プロレスから遠征してきた山田恵一、越中詩郎、ヒロ斎藤らと防衛戦を繰り広げます。1990年から1991年にかけては、デイブ・フィンレイとの激しい王座争いを展開。ミドル級戦線で活躍する一方、ブル・パワーやザ・バーバリアンといったヘビー級選手とも対戦し、その実力を改めて証明しました。

1991年にフィンレイに王座を奪われてからはセミリタイア状態となりますが、1990年代末までドイツマット界で活躍を続けました。ローラン・ボックはライトを「強く印象に残ったレスラー」として、ジョージ・ゴーディエンコ、アントニオ猪木といったレジェンドレスラーたちと共に名を挙げています。

息子のアレックス・ライト

ライトの息子、アレックス・ライトもプロレスラーとして活躍しました。1990年代にはアメリカのWCWで、嫌米ギミックのドイツ人ヒール「ベルリン」として知られていました。

スティーブ・ライトのレガシー

スティーブ・ライトは、卓越したレスリング技術とアクロバティックな動きで、ヨーロッパと日本のプロレスシーンに大きな足跡を残しました。彼の活躍は、多くのプロレスファンに今も鮮明に記憶されており、レスリング史において重要な存在として語り継がれています。 その洗練されたスタイルは、後の世代のレスラーにも多大な影響を与えたことは間違いありません。彼の功績は、単なるプロレスラーとしての枠を超え、レスリング界全体への貢献として評価されるべきでしょう。彼の名前は、今後もプロレス史に刻まれることでしょう。

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