ローラン・ボック

ローラン・ボック：地獄の墓掘人

ローラン・ボック（Roland Bock、1944年8月3日 - ）は、ドイツ・バーデン＝ヴュルテンベルク州ガイスリンゲン出身の元プロレスラー。その異名は「地獄の墓掘人」。アマチュアレスリングで培われた確かな実力と、巨体から繰り出される圧倒的なパワーを武器に、西ドイツを中心に活躍しました。

アマチュア時代

14歳でレスリングを始め、早くも1961年には西ドイツのジュニア選手権で優勝。1963年にはシニア選手権フリースタイルで3位入賞を果たし、1964年の東京オリンピックにノミネートされるも、怪我のため出場を断念しました。しかし、1968年にはグレコローマンスタイルヘビー級の西ドイツ代表としてメキシコシティオリンピックに出場。1970年には欧州選手権で優勝するなど、輝かしい実績を残しました。1972年のミュンヘンオリンピックにも出場予定でしたが、同年の欧州選手権を体調不良で欠場したことが原因で、ナショナルチームから外され、出場停止処分を受けています。

プロレスラーへの転身

1973年、ポール・バーガーの誘いを受けプロレスラーに転向。同年9月7日、ハンブルクでオスカー・ラゴを相手にデビュー戦を行うも、反則負けを喫します。その後、ジョージ・ゴーディエンコとのシュートマッチや、ミル・マスカラスからの勝利を経て、その名を高めました。1978年には、ダニー・リンチにラフファイトで逆上し、足を折って引退に追い込んだとされています。

西ドイツではプロモーターとしても活動し、1978年にはアントニオ猪木の欧州遠征シリーズを企画。自身も猪木と対戦し、1勝1敗1分という結果を残しました。しかし、11月25日のシュトゥットガルトでの試合は、ボックの激しい攻撃から「シュトゥットガルトの惨劇」とも呼ばれました。このツアーの興行成績は振るわず、ボックが関与していた興行会社は倒産。多額の負債を抱えたボックは、猪木へのファイトマネーを支払うことができず、翌1979年に日本で再戦が予定されていましたが、自動車事故による怪我のため中止となりました。同年12月16日には、アンドレ・ザ・ジャイアントと対戦。この試合でアンドレにシュートを仕掛けたことが原因で左足を負傷し、血栓症を誘発。長期間の治療を余儀なくされ、ドイツ国内での最後の試合となりました。

新日本プロレス参戦

1981年、新日本プロレスに初参戦。血栓症の影響で万全な状態ではありませんでしたが、木村健吾や長州力をダブルアーム・スープレックスで下すなど、強烈な印象を残しました。同年暮れにはスタン・ハンセンとタッグを組み、猪木&藤波辰巳組から勝利を収めています。1982年1月1日には、猪木とのシングルマッチが実現しましたが、病状が悪化していたため、不完全燃焼な試合に終わりました。この試合を最後に、ボックは引退しました。

引退後

引退後はドイツで事業に専念しましたが、税金未払いにより有罪判決を受け、収監されました。出所後は、妻名義のディスコ経営会社に勤務。1991年にタイに移住し貿易業を始めましたが、2002年に血栓症を再発。2003年にドイツへ帰国し、シュトゥットガルトで靴部品の販売会社を経営しています。

得意技

ダブルアーム・スープレックス
ボディスラム
バックドロップ
フロント・スープレックス
フルネルソン・バスター

獲得タイトル

WWU世界ヘビー級王座（1978年）
* VDB世界ヘビー級王座（1979年）

ボックは、その妥協を許さないファイトスタイルと、対戦相手を容赦なく攻撃する姿勢から、賛否両論を呼びましたが、その強烈な個性は多くのプロレスファンに記憶されています。

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