ミカエル1世コムネノス・ドゥーカス

ミカエル1世コムネノス・ドゥーカス：エピロス専制侯国の初代専制公

ミカエル1世コムネノス・ドゥーカス（Μιχαήλ Άγγελος Κομνηνός Δούκας, Michael Angelos Komnenos Doukas, 1170年頃 - 1215年）は、エピロス専制侯国の初代専制公（在位：1205年 - 1215年）として知られています。彼は、東ローマ帝国の混乱期に独立を果たし、独自の勢力を築き上げました。

生い立ちと血筋

ミカエル1世は、尊厳公（セバストクラトル）・ヨハネス・アンゲロス・ドゥーカスの庶子として生まれました。父ヨハネスは、東ローマ帝国皇帝イサキオス2世とアレクシオス3世の父であるアンドロニコス・アンゲロスの兄弟であり、ミカエルは両帝の従兄弟にあたるという、高貴な血筋を受け継いでいます。

エピロス専制侯国の建国

1204年、第4回十字軍の攻撃によって東ローマ帝国が滅亡するという未曾有の事態が発生します。この混乱の中、ミカエル1世は一時的にテッサロニキ王国のボニファチオに仕えました。しかし、翌1205年にはギリシャ西岸の都市アルタを本拠地として独立を果たし、エピロス専制侯国を建国しました。この時、ミカエル1世が名乗った「専制公」という称号は、皇帝から与えられたものではなく、彼自身が独自に用いたものでした。

ラテン帝国との戦い

ミカエル1世は、ラテン帝国のコンスタンティノポリス奪還を目指し、ギリシャ人のラテン帝国に対する抵抗を主導しました。彼はラテン帝国との戦いを優勢に進め、1215年にはコリントス湾からアルバニアに至る西北ギリシアを支配下に置き、バルカン半島に一大勢力を築き上げました。

暗殺とその後

しかし、その勢いが頂点に達した1215年、ミカエル1世は暗殺されてしまいます。彼の死後、エピロス専制侯国は、その勢力を維持しながらも、新たな指導者の下で歴史を歩むことになります。ミカエル1世の建国したエピロス専制侯国は、その後も東ローマ帝国の復興を目指し、ニカイア帝国などと連携しながら、バルカン半島における勢力均衡の一角を担い続けました。

ミカエル1世は、動乱の時代に独立を勝ち取り、自らの力で勢力を拡大した傑出した指導者でした。彼の功績は、エピロス専制侯国の礎を築き、その後の歴史に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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