ストレートフラッシュ (航空機)

ストレート・フラッシュ：広島への原爆投下と皇居への誤爆

B-29スーパーフォートレス「ストレート・フラッシュ」は、第二次世界大戦末期、アメリカ陸軍航空隊第509混成部隊に所属した爆撃機です。機体番号44-27301、ビクターナンバー85。機体には、洋式便器の中に苦悶の表情の日本兵を描いたノーズアートが施されていました。機長はクロード・イーザリー少佐でした。

ストレート・フラッシュは、原子爆弾投下作戦のために改修された15機のB-29「シルバープレート」の1機でした。新型エンジンとプロペラを搭載し、爆弾倉や懸吊装置も強化されました。必要に応じて、通常爆弾や焼夷弾を搭載することも可能でした。

1945年8月6日、広島への原子爆弾投下作戦において、7機のシルバープレートが投入されました。そのうち3機は、小倉、長崎、広島の天候偵察に使用されました。ストレート・フラッシュは、広島の天候偵察を担当しました。

エノラ・ゲイの約1時間前にテニアン島ノースフィールド基地を離陸したストレート・フラッシュは、午前7時頃、広島市上空に単機で進入。気象観測を行い、以下の報告を打電しました。

Y3、Q3、B2、C1（低い雲は雲量4/10から7/10で小さい、中高度の雲は雲量4/10から7/10で薄い、高い雲は雲量1/10から3/10で薄い、助言：第1目標を爆撃せよ）

この報告により、広島への原爆投下が最終的に決定されました。

しかし、ストレート・フラッシュは、原爆投下以前に、重大な事件を起こしていました。1945年7月20日、原爆投下訓練中に、政治的理由から攻撃が厳しく禁止されていた皇居を目標にパンプキン爆弾を投下したのです。この爆弾は皇居を大きく外れ、東京駅東側の外堀付近（呉服橋から八重洲口の間）に落下し、死者1名、負傷者62名を出しました。

この皇居への誤爆は、戦争の残酷さと、軍事作戦における予期せぬ事態の発生を改めて示す出来事となりました。

ストレート・フラッシュの乗組員は、広島出撃時、以下の通りです。

機長：クロード・イーザリー (Claude R. Eatherly)
副操縦士：イラ・J・ウェザリー (Ira J. Weatherly)
航法士：フランシス・D・トニーヒル (Francis D. Thornhill)
爆撃士：フランクリン・K・ウェイ (Franklin K. Wey)
無線通信士：パスクアーレ・バルダサロ (Pasquale Baldasaro)
航空機関士：ユージン・S・グレネン (Eugene S. Grennen)
銃座担当士・副航空機関士：ジャック・ビバンズ (Jack Bivans)
レーダー担当士：アルバート・G・バースミアン (Albert G. Barsumian)
後部銃座担当士：ギレン・T・ナイスリー (Gillen T. Nicely)

ストレート・フラッシュは、広島への原子爆弾投下という歴史的事件に深く関わった機体であり、その功績と皇居への誤爆という影の部分を併せ持つ、複雑な歴史を持つ機体と言えるでしょう。

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