ストームグラス

ストームグラス

ストームグラス（英: Storm Glass）は、19世紀のヨーロッパにおいて広く使用された天気予報の道具です。この装置は、特定の化学薬品をガラス管に封入することによって天候の変化を視覚的に示すという特異な性質を持っています。

仕組みと使用法

一般的なストームグラスは、樟脳（7.09グラム）、硝酸カリウム（1.77グラム）、塩化アンモニウム（1.77グラム）という粉末を、56.7グラムの44.1%エタノール水溶液に溶かして作ります。この溶液を、長さ約25cm、直径約2cmの試験管に入れ、針で開けた穴を紙や革で封じます。これにより、ストームグラスの中の化学薬品が特定の天候条件に応じて、液体内の状態が変化します。

たとえば、快晴の日には、固形物が底に沈み、液体は澄みきります。一方、雨が近づくと沈殿物が増え、星形の結晶が液体中に浮遊するようになります。嵐や強風が迫っている時には、固形物が液体の表面まで達し、大きな葉のような形を形成し、全体が濁ります。この現象は、天気の変化の24時間前に見られることが特徴です。

また、雪や霜の降る冬には、管の高い位置に沈殿物が積もり、非常に白い底が見られます。逆に、夏の好天が続くと沈殿物はあまり積もらず、管の下部に留まります。風が近づくと、その風が吹いてくる方向とは反対側の管の壁に沈殿ができるという特徴もあります。これらの現象がなぜ起こるのかは明確には分かっていませんが、大気の状態や温度、湿度、気圧などが大きな影響を与えていると考えられています。

歴史的背景

ストームグラスの発案者としては、ロバート・フィッツロイ（Robert FitzRoy）が言及されています。彼はこの装置が最初にCortiによって考案され、Malacrediというイタリア人によってイギリスに持ち込まれたと記録しています。19世紀初頭には航海時の天気予報として活用されていました。フィッツロイ自身もビーグル号の探検において、このストームグラスを観察し、その変化について詳細に記録しました。

1860年に彼が開発したフィッツロイ・バロメーターには、ストームグラスも取り付けられています。また、ジュール・ベルヌの名作『海底二万里』に登場する潜水艦ノーチラス号にも、ストームグラスが設置されているという点からも、この装置の重要性と影響力が伺えます。

まとめ

ストームグラスは、単なる天気予報の道具を超え、19世紀の科学と探索の一部として後世に名を残しました。今でもその独自の機能についての研究が続けられており、時には温度に基づく結晶形成が関与することが明らかになっています。これにより、ストームグラスは天気予報という側面だけでなく、化学物質が温度によってどのように影響を受けるかを知るための貴重な資料となっています。

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