スバル・アルシオーネSVX

アルシオーネSVXの魅力と歴史

アルシオーネSVX（Alcyone SVX）は、富士重工業（現・SUBARU）が1991年から1996年に製造・販売したクーペ型の普通乗用車です。この車は、そのスタイリングと高い空力性能を併せ持ち、特に北米市場に焦点を当てたスペシャルティカーとして登場しました。

製品概要

アルシオーネSVXの特徴的なキャッチコピーには「遠くへ、美しく」や「500miles a day」があり、長距離移動を快適に行うために設計されています。製造は群馬の富士重工業製作所で行われ、日本国外では「スバル・SVX」として知られています。このモデルは、先代のアルシオーネではなく、まったく新たなメカニズムの元で開発されました。

デザインの独自性

この車のエクステリアデザインは、イタルデザインのジョルジェット・ジウジアーロによるもので、当初はリトラクタブル・ヘッドライトが採用される予定でしたが、最終的には固定式のデザインに変更されました。また、グラスtoグラスのキャノピーという斬新なデザインが取り入れられ、日本初となるミッドフレームウインドーが採用されています。これは、車両のサイドウィンドウが開閉できる一部に制限がある特異な構造です。

メカニズムと性能

アルシオーネSVXは、3.3Lの自然吸気エンジンを備えています。この排気量は、特にパワーを重視せず、自然なフィーリングを重視した設計によるものです。トランスミッションには4速ATのみが採用され、これはレガシィ用ベースとされたため、最大許容トルクが小さく、不具合が発生しやすいという点が指摘されています。さらに、駆動方式は日本国内では4WDのみに設定され、先代のFF仕様は北米専用となりました。

歴史と販売状況

アルシオーネSVXは、1991年に発売され、グレードは「バージョンL」と「バージョンE」の2種類がありました。標準装備としてフルオートエアコンや16インチアルミホイールが採用され、高級グレードの「バージョンL」には本革シートやクルーズコントロールが装備されていました。しかし、モデルの価格は312万から439.4万円と高価で、バブル崩壊に伴い売上は苦戦を強いられることとなりました。来る1996年9月には新車登録台数が5944台を記録し、その年の12月に製造が終了しました。

車名の由来

「アルシオーネ」という名前は、スバルのシンボルであるプレアデス星団に属する恒星「アルキオネ」に由来し、スバルのフラグシップモデルを強調しています。一方、「SVX」は「Subaru Vehicle X」の略で、スバルが提唱した「グランドツアラー」という概念を象徴しています。

言うまでもなく、本車は先代アルシオーネとの直接の繋がりはありませんが、スバルのクーペ専用車種はこのモデルの後、BRZまで存在しませんでした。そのため、アルシオーネSVXはスバルの歴史に残る重要なモデルの一つと言えるでしょう。

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