スパイク (ミサイル)

スパイク対戦車ミサイル

スパイク（Spike）は、イスラエルのラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズ社によって開発された、先進的な第三世代の対戦車ミサイルです。このシステムは、自己誘導機能を備え、発射後に高精度で目標を追跡する能力があります。特に、赤外線画像シーカーを用いた誘導方式が特徴で、近年の戦闘においても急速な対応を可能にしています。また、スパイクの派生型においては、ミサイルと発射機を結ぶ光ファイバーケーブルによって、進路修正や射撃観測が行えるため、非常に高い精度が実現されています。

主な特徴

スパイクの弾頭は、成型炸薬弾を二つ重ねたタンデムHEATで構成されています。初弾が敵の爆発反応装甲を無力化し、続く弾頭が主装甲を貫通します。発射方法はソフトローンチ式であり、圧縮ガスによってミサイルを発射し、後にロケットモーターが点火されます。この方式により、発射時のバックブラストが軽減され、狭い場所からの発射が可能です。これによって、市街戦などの特殊な状況においても優位性を発揮できます。

構成要素

スパイクは「三脚付き発射台と射撃管制システム」と「ミサイル本体」の二つの主要部分から成り立っています。特に、長射程型のMR/LRモデルの総重量は26kgであり、軽量化のためにサーマルサイトを省略しています。このミサイルは、歩兵が利用する三脚付き発射台からも発射できるほか、装甲車両に搭載された発射器からも運用可能です。さらに、スパイクER以降のモデルは攻撃ヘリコプターにも搭載されています。イスラエル空軍はAH-1やAH-64といったヘリにも装備しており、各国の軍にも広く採用されています。

販売と展開

スパイクは、古い第二世代の対戦車ミサイルを置き換える形で、多くの国の陸軍に採用されました。特に、ヨーロッパでの市場展開を円滑にするため、ドイツにEuroSpike GmbH社が設立され、様々なバリエーションが供給されています。この会社は、ディール・ディフェンス社、ラインメタル社、そしてラファエル社の子会社が共同で所有しています。

多様な派生型

スパイクには、いくつかのバリエーションが存在します。以下に主な派生型を紹介します：

• - スパイクSR（Short Range）: 射程200-800mの短射程型で、歩兵が肩に担いで使用します。
• - スパイクMR（Medium Range）: 射程200-2,500mで、兵士や特殊部隊が使用。ミサイルは13.5kg。
• - スパイクLR（Long Range）: 最大射程4,000mの長射程型で、地上部隊や軽装甲車両に装備されます。
• - スパイクER（Extra-long Range）: 最大射程8,000mで、通常は車両に搭載され、強化された攻撃力を持ちます。
• - スパイクNLOS（Non Line Of Sight）: 最大射程25-30kmで、GPSを利用した中間誘導が可能です。

採用国

スパイクは、イスラエルをはじめ、400以上のミサイルシステムが世界各国で運用されています。チリ、フィンランド、ドイツ、イタリア、オランダ、ポーランド、韓国、アメリカなど、多くの国がその能力を評価し、導入しています。特に、ドイツでは新型プーマ装甲歩兵戦闘車への搭載が進められ、また韓国では無人機やヘリコプターに導入されています。

スパイクは、現代の戦場において強力な兵器としての役割を果たしており、今後もその能力の向上が期待されています。

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