スピリット・レーシング

スピリット・レーシングの歴史

スピリット・レーシング（Spirit Racing）は、1983年から1985年にかけてフォーミュラ1に参加したイギリスのレーシング・コンストラクターです。このチームは、1981年にゴードン・コパックとジョン・ウィッカムによって設立されました。当初、強力なパートナーとしてホンダと関係を築き上げ、多くの成功を収めました。

設立とF2での活躍

スピリットは、ホンダの四輪モータースポーツを統括していた川本信彦によるスカウトで設立されました。設立当初から、オリジナルシャシーを用いたF2への参戦を目指し、1982年にはホンダ製のV6エンジンを施したマシンでヨーロッパF2選手権にフルエントリーしました。不安定な状況ではあったものの、チームはマールボロの支援を受けていたため、資金面でもある程度の基盤がありました。

そのシーズン、ドライバーのティエリー・ブーツェンは3勝を挙げ、最終的にはランキング3位に達しました。また、ステファン・ヨハンソンも非常に速い走りを見せ、ポールポジションを5度獲得しました。このような実績はスピリットにとって大きな前進でした。

F1参戦とホンダとの関係

1983年、スピリットは公式にF1に参戦を開始しました。最初のレースはブランズ・ハッチで行われたノンチャンピオンシップ戦で、チームはF2用のシャシーにF1用のホンダV6ターボエンジンを搭載して出場しました。その後、7月のイギリスGPで本格的にF1世界選手権に参戦しました。ドライバーはステファン・ヨハンソンが務め、初めてのF1レースが記憶に残るものとなりました。

スピリットは、ホンダとの関係を非常に大切にしていましたが、ホンダは驚くべき速さで他のチームへのエンジン供給契約を進めてしまいました。1984年にはウィリアムズとの契約が実現し、スピリットはホンダエンジンを失ってしまいます。これにより、次のシーズンからはハートL4ターボエンジンに切り替えなければなりませんでした。

シーズンの苦境

1984年のシーズンは、スピリットにとって非常に厳しいものでした。新たにハート・ターボエンジンを搭載したマシンで臨むも快走することはできず、ドライバー交代や様々な手を打つも成績は向上しませんでした。最終的には1985年にチームは活動を中止することとなり、スピリット・レーシングのF1での夢は閉じられることとなりました。

F3000への移行

1988年、ウィッカムはスピリットを復活させ、国際F3000選手権に参戦しました。シャシーはレイナードで、コスワースのDFVエンジンを搭載しました。パオロ・バリッラやベルトラン・ガショーを起用し、ガショーはランキング5位を記録しました。しかし、年末にはウィッカムがフットワーク・フォーミュラの計画に合流し、再度チームは姿を消すこととなります。

このように、スピリット・レーシングは短期間でありながらも多くの試行錯誤と成功を経験し、モータースポーツの歴史に一時的に名を刻みました。

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