スフォルツァ家

スフォルツァ家：ルネサンスを彩ったミラノの名門

スフォルツァ家は、15世紀から16世紀にかけてイタリアのミラノ公国を支配した名門貴族です。その名は、始祖であるムツィオ・アッテンドロの異名「スフォルツァ」（何事も成し遂げる者）に由来します。スフォルツァ家は、ルネサンス期の文化と芸術を支援し、ミラノを文化の中心地として繁栄させたことで知られています。

スフォルツァ家の興隆と支配

スフォルツァ家の歴史は、傭兵隊長であったフランチェスコ・スフォルツァから始まります。彼は、ミラノ公国のヴィスコンティ家の娘、ビアンカ・マリーアと結婚し、1450年にミラノ公の地位を獲得しました。この結婚は、スフォルツァ家がミラノの支配者となるための重要な転換点となりました。フランチェスコは、ミラノの統治を安定させ、芸術や文化を奨励しました。

ルネサンスのパトロンとしてのスフォルツァ家

スフォルツァ家は、ルネサンス期の芸術家や学者を積極的に宮廷に招き、その活動を支援しました。特に、ルドヴィーコ・スフォルツァ（イル・モーロ）は、レオナルド・ダ・ヴィンチを宮廷に招聘したことで有名です。ダ・ヴィンチは、ミラノで絵画や彫刻、建築、科学など多岐にわたる分野で活躍し、スフォルツァ家の庇護のもと数々の傑作を生み出しました。スフォルツァ家のパトロンシップは、ミラノをルネサンス文化の中心地として輝かせました。

イタリア戦争とスフォルツァ家の衰退

スフォルツァ家の繁栄は、フランス王シャルル8世の侵攻により転換期を迎えます。1499年、フランス軍がミラノに侵攻し、ルドヴィーコ・スフォルツァは一時的にミラノを追われました。その後、ルドヴィーコの子マッシミリアーノがハプスブルク家の支援を受けミラノ公となりますが、再びフランス軍によって追放されます。スフォルツァ家は、イタリア戦争の渦中で衰退の一途を辿り、その支配力は徐々に失われていきました。

スフォルツァ家の主要人物

フランチェスコ・スフォルツァ（1401年 - 1466年）: スフォルツァ家の創始者。傭兵隊長として頭角を現し、ミラノ公の地位を獲得。
ルドヴィーコ・スフォルツァ（イル・モーロ、1452年 - 1508年）: フランチェスコの子。ミラノ公として、ルネサンス文化を奨励し、レオナルド・ダ・ヴィンチを宮廷に招いた。フランスの侵攻により捕虜となり獄死。
マッシミリアーノ（1493年 - 1530年）: イル・モーロの子。一時ミラノ公を継ぐが、フランス軍により追放された。
フランチェスコ2世（1495年 - 1535年）: マッシミリアーノの弟。ミラノ公を奪還し、再び統治したが、その死後に第四次イタリア戦争が勃発。
ジョヴァンニ・パオロ（1497年 - 1535年）: イル・モーロの庶子。傭兵隊長として異母兄に従い、カラヴァッジョ侯となる。兄の死後ミラノを占拠したが、謎の死を遂げた。

スフォルツァ家の分家

スフォルツァ家は、複数の分家を形成しました。それぞれの分家は、独自の歴史を歩み、一部は現代まで存続しています。

スフォルツァ・ペーザロ家: フランチェスコの弟アレッサンドロの家系。ペーザロ領主。1512年に断絶。
スフォルツァ・ボルゴノヴォ家: フランチェスコの庶子スフォルツァ・セコンドの家系。ボルゴノヴォ領主。1679年に断絶。
スフォルツァ・コティニョーラ家: フランチェスコの異母弟ボシオの家系。コティニョーラ領主。1624年まで存続。
スフォルツァ・サンタフィオーラ家（スフォルツァ・セサリーニ家）: ボシオの家系でサンタフィオーラ領主。有力貴族との婚姻を重ね、1674年にスフォルツァ・セサリーニ家と改名。現在も貴族として存続。
スフォルツァ・カラヴァッジョ家: イル・モーロの庶子ジョヴァンニ・パオロの家系。カラヴァッジョ領主。ナポレオン戦争で侯爵領を占領され終焉。

スフォルツァ家の終焉

スフォルツァ家は、16世紀後半までにミラノの支配権を失いましたが、その遺産は今日まで受け継がれています。彼らが築いたルネサンス文化は、ミラノの歴史に深く刻まれ、現在でもその影響を色濃く残しています。スフォルツァ家の興亡は、ルネサンス期のイタリアを理解する上で欠かせない重要な要素です。

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