スベンスカ・セルローサ

スベンスカ・セルローサ（SCA）: 林業から再生エネルギー企業への進化

スベンスカ・セルローサ（SCA）は、スウェーデン北東部スンツヴァルに本社を置く、歴史ある企業です。1929年、10社の林業企業を統合する形で設立されました。創業者は実業家のイーヴァル・クルーガー氏で、当初は林産品、特にパルプや紙の製造に注力していました。その後、スベンスカ・ハンデルスバンケンという大手銀行の傘下に入り、安定した経営基盤を築き、1950年には株式を上場しました。

創業からしばらくの間は、パルプや紙の生産に特化し、最新鋭の機械を導入することで生産能力の向上に努めました。しかし、1960年代に入ると林業の成長が鈍化し始め、SCAは事業の多角化を模索することになります。そこで目をつけたのが、パッケージ事業や段ボール製造でした。これらの分野への投資を積極的に行うことで、新たな収益源の確保に成功します。

更なる成長を目指すSCAは、1975年にパーソナルケア用品大手であるメンリッケ社を買収しました。この買収によって、SCAはパルプ・紙事業に加え、パーソナルケア事業への進出を果たします。この分野では、排泄ケア用品ブランド「TENA（テーナ）」が有名で、日本でも広く知られるようになりました。その後も積極的にパーソナルケア用品関連企業の買収を進め、この分野における世界的な企業へと成長を遂げていきます。

しかし、SCAの事業はその後大きく変化します。2017年、パーソナルケア用品部門をエシティとして独立させました。これによりSCAは、原点回帰とも言えるパルプ・紙事業と再生可能エネルギー事業に集中することになります。スウェーデン北部の豊かな森林資源を最大限に活用し、環境に配慮した持続可能な経営を目指す姿勢を明確にしました。

日本においてもSCAは事業展開を行っていました。2014年に、日本の商社であるフェニックスコーポレーションとの合弁会社「SCA Japan株式会社」を設立し、日本市場への進出を図りました。しかし、2019年にはこの日本法人は閉鎖されました。パーソナルケア用品に関しては、これまでSCAが手掛けていた「TENA」ブランドは、エシティとユニ・チャームの合弁会社による販売へと移行しています。

このように、SCAは設立以来、常に時代の変化に対応し、事業を転換・拡大してきました。当初は林業を中心とした企業でしたが、現在はパルプ・紙事業と再生可能エネルギー事業を中核とする企業へと変貌を遂げています。スウェーデンの豊かな森林資源を活かし、持続可能な社会への貢献を目指し、これからも進化を続けていくことでしょう。今後、SCAがどのようなイノベーションを起こし、世界に貢献していくのか、目が離せません。

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