スペインの鉄道

スペインの鉄道システム

スペインの鉄道は、公営および民営の事業者によって運営されており、4つの異なる軌間が存在します。2004年時点で、鉄道の総延長は14,781 kmに達し、そのうち8,791 kmは電化されています。主な軌間は以下の通りです。

• - 広軌（1668 mm）: 11,829 km（6,950 kmが直流3000V電化）
• - 標準軌（1435 mm）: 998 km（全区間交流25000V電化）
• - 狭軌（1000 mm）: 1,926 km（815 kmが電化）
• - 狭軌（914 mm）: 28 km（全区間電化）

大部分の路線は国有のレンフェ・オペラドーラ（RENFE）が運営していますが、バスク自治州、カタルーニャ州、バレンシア州などの地域においては地方自治体による運営も行われています。また、2012年まで狭軌路線の多くはスペイン狭軌鉄道（FEVE）が運営していました。今後、隣接国との接続を強化するため、標準軌の新線建設や既存広軌線の標準軌への改軌が進められており、それに伴い駅のプラットフォームの高架も検討されています。

歴史的背景

スペインの鉄道の始まりは、16世紀にさかのぼりますが、国の経済的な衰退により、その発展は遅れました。1848年には、バルセロナからマタロー間に初の鉄道路線が開業し、以降、外国からの資本導入を促進するための法改正が行われたことが、鉄道インフラの拡大につながりました。しかし、非一般的な1,672 mmの広軌による建設は、後に国際貿易に悪影響を及ぼす結果となりました。この選択には、フランスに対する防衛的意識も影響したと言われています。また、厳しい地形も広軌を選択する一因とされたとの説もあります。

1870年代には主要な幹線がほぼ完成し、しかしながら、スペインの鉄道網は他の多くのヨーロッパ諸国に比べて大規模には成長しませんでした。

スペイン内戦とその後

1930年代のスペイン内戦では、鉄道網への甚大な被害がもたらされ、戦後、フランシスコ・フランコ政権によって鉄道の国有化が進められました。1941年にはレンフェが設立され、さらに狭軌鉄道も国有化されました。この背景には、戦争によるインフラの壊滅的な状態があり、復旧には長い時間がかかりました。

1950年代末には、国際的な孤立から脱却し、近代化が開始されました。1975年以降は地方分権が進み、自治州が狭軌線の運営を担い、バルセロナやマドリードなどは独自の地下鉄システムを持つようになりました。

高速鉄道の発展

近年、スペインでは鉄道インフラへの大規模な投資が行われており、特に1992年に開業したマドリードとセビリアを結ぶ高速鉄道（AVE）は革新的なものでした。また、2003年から2008年の間で様々な新路線が開通し、高速道路網が全国的に広がりました。東部のリョイダやバルセロナにも延長され、国際的な結節点としての役割も期待されています。

主要な事業者

スペイン鉄道網は、レンフェ・オペラドーラを中心に、バスク鉄道、ソーリェル鉄道、マヨルカ鉄道、バレンシア公営鉄道、カタルーニャ公営鉄道など、多様な事業者によって支えられています。これにより、各地域における輸送の多様性が実現され、都市間輸送や観光輸送が可能となっています。

まとめ

スペインの鉄道は、その複雑な歴史的背景と地域ごとの特性を持ちながら、近代化と整備が進められています。今後も地域間接続や高速化の進展が期待され、新たな輸送の形が模索されています。

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