スペイン狭軌鉄道

スペイン狭軌鉄道FEVEの歴史と路線網

スペイン狭軌鉄道、略してFEVE（Ferrocarriles de Vía Estrecha）は、2012年12月31日まで存在していた国営の鉄道運営者です。この会社は、スペイン国内のメーターゲージ路線の大半を占める1,250kmの鉄道路線を所有し、地方交通の重要な役割を担っていました。FEVEの設立は1965年で、それ以前は1926年から政府経営のEFE（Explotación de Ferrocarriles por el Estado）が運営していました。その後、フェデラルパーク（FEVE）が、標準軌鉄道と狭軌鉄道を引き継ぎ、主に非営利路線として鉄道を採用し続けました。

歴史の中での変遷

1941年にはレンフェ（スペイン国鉄）が設立され、以降は広軌の鉄道がレンフェに統合されていきました。これによってEFEは狭軌線の運営に特化し、1965年にFEVEが設立されることで、さらに 狭軌網が整理されていきました。FEVEは、かつて利益を上げられなかった路線を吸収し、多くを1,000mmのメーターゲージに変更しましたが、1978年の地方分権により、カタルーニャ、バスク、バレンシア、バレアレス諸島などに狭軌路線を移管することになります。最終的には、2012年にFEVEはレンフェに統合され、その存在は消えました。

路線網の概要

FEVEが運営していた鉄道路線は、主にスペイン北西部のガリシア州からアストゥリアス州、カンタブリア州、そしてバスク州までを結んでいました。これらの路線は、大西洋のビスケー湾沿岸に集中し、 FEVEの一元的管理により、全体として非常に重要な交通体系を形成していました。FEVEは1,194kmの路線の中で316kmを電化し、効率的な輸送を実現していました。

トランスカンタブリコ線

FEVEが誇る観光路線であるトランスカンタブリコ線は、650kmの長さを持ち、バスク州のサン・セバスティアンからカスティーリャ・イ・レオン州のレオンを結ぶ路線です。1982年に全通し、観光目的で運行されていました。この路線では寝台車両やレストランが用意され、7泊8日での旅行を楽しめるプランが提供されました。休日には特に観光客に人気があり、フェロルからフランスのアンダイエにかけて一般の地域輸送も行われていました。

通勤輸送と貨物輸送

FEVEはまた、セルカニアスと呼ばれる通勤電車も運行しており、特にアストゥリアス地方では主要な交通手段として機能していました。ビルバオ近郊では、コンコルディア駅を起点にバスルトやソドゥペなどの地域を結ぶ路線が存在し、通勤利用者にとって欠かせない存在でありました。また、FEVEは年間約4億6,000万トンの貨物を輸送しており、鉄や石炭などの重要な資源の運搬を担っていました。

統合後の鉄道運営

FEVEが運営していた路線は、統合に伴っていくつかの新たな運営者に引き継がれました。バスク鉄道やカタルーニャ公営鉄道、バレンシア公営鉄道、マヨルカ鉄道などがその例です。これにより、地域ごとに独自の交通システムが形成され、スペインの鉄道網は新たな姿を迎えることになりました。

FEVEの影響は、スペインの鉄道史において重要な位置を占めていますが、今日ではその名が消えても、その精神は新たな事業者によって引き継がれています。

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