スペンサー・ハウス

スペンサー・ハウス

スペンサー・ハウスは、イギリスのロンドンにある重要な歴史的邸宅で、セント・ジェームズ・プレイスの27番地に位置します。この建物は1756年に初代スペンサー伯爵ジョン・スペンサーによって建設されました。彼が大規模なタウンハウスを求めていた理由は、社会的地位を高めるためでした。設計を担当したのは、ウィリアム・ケントに学んだ建築家ジョン・バーディーで、彼は邸宅のファサードや一部の家具のデザインを手掛けました。

1758年には、古代ギリシア建築の理念を取り入れたプロジェクトが始まり、ジェームズ・スチュアートがバーディーの後任としてその役目を引き継ぎました。この成果として、スペンサー・ハウスは真のギリシア様式を持つ内装を備え、ロンドンにおける新古典主義建築の初期の例となりました。このスタイルはその後のイギリス全体に広まりました。

この邸宅は、スペンサー家がその居所とし、1895年まで使用されました。その間、家族の祝賀会や社交イベントが行われ、上流社会の中心地となっていました。20世紀の初めには短期間スペンサー家が戻ったこともありますが、この邸宅は次第にクラブやオフィスとしても利用されるようになりました。第二次世界大戦のロンドン大空襲では、この貴重な建物から内装の一部が失われ、多くの特注家具や暖炉などが略奪されました。

近年では、スペンサー・ハウスの所有権はスペンサー伯爵の家族に残っています。現在の所有者はダイアナ元皇太子妃の弟である第9代スペンサー伯爵チャールズ・スペンサーです。しかし、第二次世界大戦以降、この邸宅は度々他の機関に貸し出されてきました。1948年にはクリスティーズ、1956年にはBOCグループ、1963年にはエコノミスト・インテリジェンス・ユニットがその使用権を持っていました。

1986年にはロスチャイルド男爵が創設したRITキャピタル・パートナーズが、この邸宅を96年間賃借する契約を結びました。その後、彼らは2000万ポンドを投じて内装を18世紀の状態に復元し、大きな称賛を得ました。2017年の年次報告書によると、スペンサー・ハウスの借家権は3940万ポンドと評価されています。

スペンサー・ハウスは、現在もランカスター・ハウスやブリッジウォーター・ハウス、ダドリー・ハウス、アプスリー・ハウスと並んで、ロンドンの歴史的なタウンハウスの一つです。これらの建物は、かつて貴族たちの華やかな生活を象徴するものとして、今なお人々を魅了し続けています。

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