スペースシャトル・エンデバー

スペースシャトル エンデバー：チャレンジャー号事故からの再生と日本の宇宙開発への貢献

[スペースシャトル]]・エンデバー(OV-105)は、1986年のチャレンジャー号事故を受け、既存のスペアパーツを再利用して製造されたオービターです。1992年5月7日の初飛行から2011年6月の引退まで、実に25回の宇宙空間への旅を遂げました。その任務は、[[国際宇宙ステーション]建設への貢献や、数々の科学実験など多岐に渡ります。

エンデバーの名は、ジェームズ・クック船長の探検船に由来します。努力を意味する英単語endeavourと関連付けられることも多いですが、正式名称はイギリス英語表記のEndeavourです。NASA自身による表記ミスが話題になったこともありました。なお、アポロ15号の司令船や、アーサー・C・クラークのSF小説『宇宙のランデヴー』に登場する宇宙船も、同じ名前を持つことは興味深い事実です。

日本人宇宙飛行士との深い繋がり

エンデバーは、日本人宇宙飛行士にとって特別な存在です。毛利衛さん、若田光一さん、土井隆雄さんといった日本の宇宙開発を担うパイオニアたちが、このオービターに搭乗し、宇宙空間での研究活動に貢献しました。特に、土井さんが搭乗したSTS-123ミッションでは、日本の有人宇宙施設『きぼう』の船内保管室が、若田さんが搭乗したSTS-127ミッションでは、船外実験プラットフォームが宇宙へと運ばれました。これらのミッションは、日本の宇宙開発における大きな一歩となりました。

エンデバーと日本の繋がりは、製造段階から存在します。カリフォルニア州パームデール工場からケネディ宇宙センターへの輸送は、かつて日本航空に所属したN911NAという航空機が行いました。このオービターは、その誕生から日本と深い縁で結ばれていたと言えるでしょう。

退役後の新たな旅：トヨタ・タンドラによる輸送

引退後、エンデバーはロサンゼルスのカリフォルニア科学センターに展示されることになりました。2012年10月、ロサンゼルス国際空港から科学センターまでの約19キロメートルの輸送は、大きな話題を呼びました。総重量227トンを超えるエンデバーと輸送台車の重量は、輸送経路上の橋梁の耐荷重を超える可能性がありました。

そこで、より軽量な輸送方法として、トヨタ・タンドラによる牽引が用いられました。タンドラの本来の牽引能力は4.5トン程度ですが、特殊な台車との組み合わせにより、約136トンのエンデバーを250メートルに渡り牽引することに成功しました。この時、トヨタはカリフォルニア科学センターとスポンサー契約を結んでおり、タンドラの起用は、その関係性も背景にありました。

エンデバーの遺産

エンデバーは、チャレンジャー号事故を乗り越え、新たな技術と国際協力によって実現した、人類の宇宙開発における重要なマイルストーンです。その活躍は、数々のミッションや日本人宇宙飛行士との関わりを通して、宇宙開発の歴史に深く刻まれています。現在、カリフォルニア科学センターで展示されているエンデバーは、未来の宇宙開発への希望と、過去への敬意を示す、貴重な遺産として人々を魅了し続けています。 そして、その名は、人類の宇宙への果てしない探求心を象徴する存在として記憶されています。

その他のスペースシャトル

エンタープライズ：試験機であり、宇宙飛行能力を持たない。
コロンビア：1981年初飛行。2003年大気圏再突入時に空中分解事故で失われた。
チャレンジャー：1983年初飛行。1986年打ち上げ直後に爆発事故で失われた。
ディスカバリー：1984年初飛行。
アトランティス：1985年初飛行。
パスファインダー：試験機。

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