スラマニ

スラマニ：輝ける経歴と惜しまれる最期

スラマニ(Sulamani)は、アイルランドで生まれ育ったサラブレッド競走馬であり、後に種牡馬としても成功を収めた名馬です。その競走生活は、数々の栄光と惜敗が織りなすドラマチックなものでした。5ヶ国に渡り6つのG1競走を制覇、そして2004年にはワールドシリーズ・レーシングチャンピオンシップの総合優勝という偉業を達成しています。

3歳時代の活躍：クラシック戦線での躍進

スラマニのデビューは2002年4月7日、ロンシャン競馬場で行われたシャンペレ賞でした。結果は7着と平凡なスタートとなりましたが、続くサンクタス賞、ラーヴル賞と勝利を重ね、フランスのクラシック競走であるジョッケクルブ賞へと駒を進めます。

ジョッケクルブ賞では、重賞未勝利だったことから7番人気と低評価でしたが、レースでは圧倒的1番人気の5戦5勝のアクトワンを1馬身半差で退け、見事優勝を飾りました。この勝利は、スラマニの潜在能力の高さを示すものとなりました。

秋の目標は凱旋門賞に定められ、その前哨戦としてニエル賞に出走。3頭立てのレースでは、スローペースの中、最後の直線で鋭い末脚を見せ優勝しました。しかし、勝ちタイムは3分12秒8と異常に遅い時計で、その内容は疑問視されました。

そして迎えた凱旋門賞。英愛ダービー馬ハイシャパラルを抑え2番人気に支持されましたが、ドイツの伏兵マリエンバードに敗れ2着に終わりました。この後、スラマニはゴドルフィンに売却され、3歳シーズンを終えました。

古馬時代：世界を舞台に活躍

2003年、スラマニはドバイシーマクラシックでレコードタイムでの優勝を収め、世界的な活躍を開始します。その後もサンクルー大賞4着、キングジョージ6世＆クイーンエリザベスダイヤモンドステークス2着など、善戦しながらも勝利には届かないレースが続きました。

そこで、陣営は芝路線の層が薄いアメリカ遠征を決断します。アーリントンミリオンでは2着に入線しましたが、1着馬の進路妨害により繰り上がりで優勝。続くターフクラシック招待でも勝利し、アメリカ最大の芝レースであるブリーダーズカップ・ターフへと挑みます。しかし、このレースではハイシャパラルとジョハーの同着優勝を前に5着と大敗を喫しました。

2004年、ヨーロッパに戻ったスラマニは、プリンスオブウェールズステークス4着、プリンセスオブウェールズステークス2着、キングジョージ6世＆クイーンエリザベスダイヤモンドステークス3着と、再び勝ちきれないレースが続きました。しかし、インターナショナルステークスとカナディアンインターナショナルステークスで優勝した後、競走馬生活に幕を閉じました。

種牡馬時代：遺伝子を受け継ぐ者たち

2005年よりダルハムホールスタッドで種牡馬として繋養され、初年度産駒からG1勝ち馬を輩出するなど、成功を収めました。しかし、2017年2月、病気のため死亡しました。

主な産駒には、セントレジャーステークス、香港ヴァーズ、デルビーイタリアーノを制したMasteryや、数々のハードルレースを制覇したHoneysuckleなどがいます。これらの活躍は、スラマニの優れた遺伝子を受け継いだ証と言えるでしょう。

血統と半兄

スラマニの半兄には、1998年のジョッケクルブ賞（フランスダービー）とアイリッシュダービーを制覇し、同年のカルティエ賞年度代表馬にも選出された名馬ドリームウェルがいます。この血統背景も、スラマニの能力の高さを示唆しています。

スラマニは、その華々しい競走生活と、種牡馬としての成功、そして短いながらも輝かしい生涯を通して、競馬史に名を刻んだ偉大なサラブレッドでした。彼の活躍は、これからも多くの競馬ファンに語り継がれていくことでしょう。

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