スリヨータイ

映画『スリヨータイ』の魅力

『スリヨータイ』は、2001年に公開されたタイの歴史映画であり、アユタヤ王朝時代の女性リーダー、シースリヨータイの物語を描いています。本作は、M・C・チャートリーチャルーム監督により制作され、興行成績は振るわなかったものの、タイ映画界に新たな風を呼び込み、タイ映画ブームを引き起こす先駆けとなりました。日本では未公開ですが、その内容は多くの人々の関心を引くでしょう。

制作背景

この映画の原案はシリキット王妃から提案され、監督と共に王妃の祖先であるラーマ5世を持つチャートリーチャルーム監督が映画化に尽力しました。現代のタイでは歴史教育が薄れてきており、王妃は映画を通じて国民にタイの歴史を再認識させたいと考えていました。そのため、製作には王妃の出資があり、さらにタイ国軍の兵士数千名が合戦シーンのエキストラとして動員されています。

シースリヨータイを演じるピヤパット・ピロムパックディーは、王族に連なる家系出身で、シリキット王妃の侍女を務めていたことからこの重要な役を任されることとなりました。制作は5年間の考古学的な研究と2年の撮影を経て完成しましたが、歴史的な忠実性よりも大まかな流れを重視した内容となっています。

歴史的背景

映画は、アユタヤ王朝年代記を基にしています。そのため、歴史の正確さを追求することよりも、観客がタイの歴史に興味を持てるように工夫されています。参考文献には、ルワンプラスート本、御親筆本、大英博物館本などが含まれており、他にもポルトガル人傭兵の記録が活用されています。

映画には巨額の製作費が投じられ、その額は800万から2000万ドルの間であるとされています。タイ王族の協力によって撮影地点が制限されることなく行うことができた点も特筆すべき特徴です。

主な登場人物

• - シースリヨータイ（ピヤパット・ピロムパックディー）: 主人公で、チャックラパット王と政略結婚を余儀なくされるが、愛するクン・ピレーントーンテープと再会し、彼を救うための奮闘を繰り広げる。
• - チャックラパット王（サランユー・ウォンクラチャン）: スリヨータイの夫で、家督争いを乗り越えた王。
• - クン・ピレーントーンテープ（チャチャイ・プレーンパーニット）: スリヨータイの愛人であり、政争に巻き込まれる。
• - チャイヤラーチャーティラート王（ポンパット・ワチラボンジョン）: クーデターによって王となるが、妃に暗殺される運命に。
• - シースダーチャン（マイ・ジャルンプラ）: チャイヤラーチャーティラート王を殺し、自身の欲望に振り回される。
• - クン・ウォーラウォンサーティラート（ジョニー・エンフォーネー）: クメールの小姓で、シースダーチャンと共謀する。

映画『スリヨータイ』は、歴史的背景を基盤にしつつもドラマチックな要素を盛り込み、観客にタイの歴史を楽しませる作品に仕上げられています。その壮大なビジュアルと、人物たちの複雑な人間関係は視聴者に深い感動を与えることでしょう。また、アメリカでは2003年に編集版が公開され、国際的な注目を集めました。タイの歴史に触れつつ、エンターテインメント性の高い作品として評価される本作は、今後のタイ映画における意義ある一歩となることでしょう。

もう一度検索