スリラー (アルバム)

スリラー (Thriller)

1982年12月1日にリリースされたマイケル・ジャクソンのアルバム『スリラー』は、音楽史における画期的な作品として知られています。このアルバムは、世界中で7000万枚から1億枚の販売が記録されており、最も売れたアルバムのひとつとされています。制作には前作『オフ・ザ・ウォール』と同様、著名なプロデューサーのクインシー・ジョーンズが関与しました。

制作背景

『スリラー』はロサンゼルスのウエストレイク・スタジオで制作され、新たなポスト・ディスコやクワイエット・ストームのスタイルを取り入れつつ、ポール・マッカートニーやエディ・ヴァン・ヘイレンといったアーティストとのコラボレーションによって、白人音楽の要素も巧みに組み込まれました。音楽専門チャンネルMTVの普及により、革新的で視覚的な魅力を持つミュージック・ビデオが制作され、これが人種の垣根を超えた社会現象へと発展しました。

ヒットシングル

1983年1月に発表されたシングル「ビリー・ジーン」は、ジャクソン自身が作詞・作曲を手掛けた曲で、ストーカーに悩まされる自身を反映させた内容とされています。この楽曲のミュージック・ビデオは、暗いテーマを持ちながらも映像のストーリー性によって大きな話題となりました。その後、ギタリストのエディ・ヴァン・ヘイレンをフィーチャーした「ビート・イット」がリリースされ、独自の演出を加えたダンスシーンが注目を集めました。さらに、12月には「スリラー」が公開され、特にこのミュージック・ビデオは14分の内容を誇る大作で、ジャクソンが狼男やゾンビと共に踊るシーンが視聴者に強い印象を残しました。この作品は、MTVが発表した「今まで作られたビデオの中で最も偉大なベスト100」において1位に輝いています。

商業的成功

『スリラー』は全米チャートで通算37週間の1位を記録し、他の7カ国でも同様の成績を収めました。1984年にはオリコン洋楽アルバムチャートで12週連続1位を獲得し、記録的なセールスを達成しました。このアルバムからの全9曲のうち7曲がシングルとしてリリースされ、全てが全米チャートのトップ10に入るという快挙も達成しています。2012年にギネス世界記録に認定されて以降、2022年にはアメリカのアルバム売上も3000万枚を超えると報じられ、2023年現在でもその数字は増え続けています。

賞と評価

1984年の第26回グラミー賞では、最優秀レコードと最優秀アルバムを含む8部門で受賞するという異例の活躍を見せました。また、各楽曲も高い評価を受け、ローリング・ストーン誌の『オールタイム・グレイテスト・ソング500』では「ビート・イット」が81位、「ビリー・ジーン」が58位に選ばれています。

特別エディション

『スリラー』の25周年及び40周年を記念した特別盤もリリースされ、アーティストとのコラボレーションを含む新たなトラックが追加されています。特に25周年記念盤では、人気アーティストとのコラボレーショントラックとDVDも収録され、ファンの注目を集めました。

このように『スリラー』は、単なる音楽アルバムを超えた文化的な現象を生み出し、今日でも多くのアーティストやファンに影響を与え続けています。

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