スルーズゲルミル

スルーズゲルミル (Þrúðgelmir)

北欧神話に登場する霜の巨人。名前は古ノルド語で「力の叫び」または「力の騒音」を意味すると解釈される。アウルゲルミルの息子であり、ベルゲルミルの父として知られている。

概要

スルーズゲルミルに関する情報は限られており、主に『古エッダ』の詩『ヴァフスルーズニルの言葉』に登場する。

この詩の中で、変装したオーディン（ガグンラーズ）が巨人ヴァフスルーズニルに対し、アース神族と巨人の中で最も古い者は誰かと尋ねる場面がある。ヴァフスルーズニルは、それに対し、以下のように答えている。

大地が作られる前に無数の冬があった、

その頃ベルゲルミルが生まれた、

スルーズゲルミルが彼の父であった、

そしてアウルゲルミルが彼の祖父だった。

（『ヴァフズルーズニルの歌』第29節）

この記述から、スルーズゲルミルはアウルゲルミルの息子であり、ベルゲルミルの父であることがわかる。

スルーズゲルミルの出自に関する議論

研究者の中には、スルーズゲルミルがアウルゲルミルの足から生まれた6つの頭を持つ息子と同一視する者もいる。しかし、スルーズゲルミルに関する情報源が少ないことから、詩人が創作した存在である可能性も指摘されている。

また、アウルゲルミルには複数の息子がいたとされるため、スルーズゲルミルを特定の息子と断定することは難しいという意見もある。

参考文献

The Poetic Edda. Trans. with an introd. and notes by Carolyne Larrington. Oxford: Oxford University Press, 1999. ISBN 0192839462.
Lindow, John. Norse mythology : a guide to the gods, heroes, rituals, and beliefs. New York: Oxford University Press, 2002. ISBN 0195153820.
* Simek, Rudolf. Dictionary of Northern Mythology. Translated by Angela Hall. Cambridge: D. S. Brewer, 1996. ISBN 0-85991-513-1.

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