スロベニア人

スロベニア人とは

スロベニア人（スロベニア語: Slovenci）は、南スラヴ系の民族であり、スロベニア語を公用語としています。スロベニアの主要な住民であり、その周辺国にも少数民族として居住しています。

人口分布

スロベニア人の多くは、独立国であるスロベニアに居住しています。2008年の推計では、スロベニアの人口は約200万人です。また、イタリア北東部、オーストリア南部、クロアチア、ハンガリーにも少数民族として居住しており、これらの国々はいずれもスロベニア人を自国の少数民族として認めています。

2002年のスロベニアの国勢調査では、約163万人が自身をスロベニア人と認識しており、約172万人が母語をスロベニア語と回答しました。

オーストリアに住むスロベニア人は約2万5千人であり、そのうち約1万8千人がオーストリア国籍、約7千人が外国籍です。

歴史

初期アルプス・スラヴ人

6世紀頃、南スラヴ人の一派がアルプス山脈からアドリア海にかけての地域に移住しました。彼らはモラヴィアとランゴバルド人の移動に伴い2度にわたってこの地に移住しました。623年から658年にかけて、この地域はサモ王の支配下で統一されましたが、サモの死後に分裂しました。しかし、その一部からカランタニア公国が誕生し、コロシュカ地方の原形となりました。

フランク人支配下のアルプス・スラヴ人

アヴァール人の侵入により、カランタニア公国はバイエルンとの連合を受け入れ、フランク人の支配下に入りました。8世紀にはキリスト教の受容が始まりました。その後、アルプス・スラヴ人の居住地域は、ドイツ人やマジャル人の流入によって縮小し、15世紀頃には現在の分布に落ち着きました。その過程で、ドイツ系、マジャル系、イタリア系との混血が進み、現在のスロベニア人が形成されました。

18世紀から第二次世界大戦まで

神聖ローマ帝国崩壊後、スロベニア人の居住地域は、オーストリア帝国、フランス帝国のイリュリア州、オーストリア＝ハンガリー帝国の支配下に置かれました。20世紀初頭には、多くのスロベニア人が経済的な理由からアメリカ合衆国に移住し、各地にコミュニティを形成しました。

第一次世界大戦後、スロベニア人の居住地域は、セルビア人、クロアチア人と共にセルビア人・クロアチア人・スロベニア人王国（後のユーゴスラビア王国）を形成しました。しかし、1920年の住民投票により、ケルンテン地方はオーストリア領に留まり、西部はイタリア王国領となりました。スロベニア人の義勇兵はスペイン内戦や第二次エチオピア戦争にも参加しました。

第二次世界大戦と終戦後

1941年、ユーゴスラビア王国は枢軸国によって侵略され、スロベニア人の居住地域の一部はドイツに編入されました。多くのスロベニア人がドイツに強制移送され、強制労働に従事しました。1945年、ユーゴスラビアは自力で解放され、共産主義国家として再建されました。スロベニアは連邦を構成する社会主義共和国となりました。

ケルンテン地方はオーストリア領のままとなり、スロベニア人は少数民族として認められました。しかし、シュタイアーマルク州のスロベニア人は少数民族として認められていません。また、一部ではスロベニア人のパルチザン活動を否定的に捉える動きもあります。

ユーゴスラビアは第二次世界大戦後、イタリアから一部の領土を獲得しましたが、依然として多くのスロベニア人がイタリア領内に居住しています。

1991年、スロベニアはユーゴスラビア連邦から独立し、スロベニア共和国となりました。

文献

スロベニア語で書かれた最古の文献は、10世紀から11世紀にかけて書かれたフライジンク写本です。スロベニア語で印刷された最初の文献は、1[[550年]]に書かれたカテキズムとアベツェダリウムです。16世紀後半には、多言語辞書によってスロベニア人の存在がヨーロッパで広く知られるようになりました。

民族意識

1980年代末のユーゴスラビアの分断とスロベニアの独立を経て、スロベニアの民族的アイデンティティへの関心が高まりました。古代ウェネティイ族との関連性を主張する動きや、中世の象徴を復活させる動きが見られました。スロベニアの象徴として、トリグラウ山や黒いヒョウなどが用いられています。

この文章は、スロベニア人についての歴史、地理的な分布、民族意識などを包括的に解説しています。詳細な歴史的背景や文化的な側面を理解するのに役立つでしょう。

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