スンガイコーロック駅

スンガイコーロック駅は、タイ南部ナラーティワート県スンガイコーロック郡に位置する、タイ国有鉄道南本線の終着駅です。人口約7万5千人が暮らすスンガイコーロック郡の中心部にあり、タイ最南端の駅として知られています。

この駅は、旧トンブリー駅から1142.99km、バンコクのクルンテープ駅からは1159.04kmの地点にあり、タイ国鉄が運行する最長距離列車の終着点となっています。バンコクからスンガイコーロックまでの所要時間は、特急列車を利用した場合で約19時間50分です。

スンガイコーロック駅は一等駅であり、1日に14本（7往復）の列車が発着します。その内訳は、特急列車が1往復、快速列車が2往復、普通列車が4往復です。駅の東側には線路が延び、タイとマレーシアの国境へと続いています。かつては、この線路を使い、タイとマレーシアを結ぶ国際列車が運行されていましたが、現在は旅客・貨物ともに国境を越える列車は運行されておらず、鉄道での国境は封鎖されています。

ただし、タイ側の線路は整備されている一方で、マレーシア側の線路は雑草が生い茂り、荒廃が進んでいます。鉄道での越境はできないものの、道路を利用した国境越えは可能であり、活発な貿易が行われています。駅は町の中心部にあるため、交通の利便性が高いことも特徴です。

スンガイコーロック駅の歴史は、1921年9月17日に南本線の最後の区間であるタンヨンマット駅とスンガイコーロック駅間が開業したことで、南本線が全線開通した時に遡ります。この時、タンヨンマット駅からスンガイコーロック駅までの43.49kmの区間が開業しました。

駅の構造は、単式ホームと島式ホームがそれぞれ1面ずつ、計2面2線を有する地上駅です。駅舎はホームに面しており、利用者が容易にアクセスできるようになっています。

スンガイコーロック駅は、タイ南部における鉄道の重要な拠点であるだけでなく、国境を跨いだ人や物の交流点として、地域経済を支える上で重要な役割を担っています。現在では国際列車の運行は休止されていますが、かつてはタイとマレーシアを結ぶ重要な路線の一部であり、今後、国境を越えた鉄道の再開が期待されます。駅の歴史と現状、そして周辺の地理的な状況は、この駅が持つユニークな価値を物語っています。

参考資料として、以下の書籍が挙げられます。

岡本和之　『タイ鉄道旅行』　（めこん、1993年）ISBN 4-8396-0080-5
杉本聖一　『魅惑のタイ鉄道』　（玉川新聞社、2000年）ISBN 4-924882-29-1
柿崎一郎　『王国の鉄路 タイ鉄道の歴史』　（京都大学学術出版会、2010年）ISBN 978-4-87698-848-8
渡邉乙弘　『タイ国鉄4000キロの旅』　（文芸社、2013年）ISBN 978-4-286-13041-5

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