トンブリー駅

トンブリー駅の歴史と現状

トンブリー駅は、タイ国有鉄道南本線の主要駅の一つで、バンコク・ノーイ駅とも呼ばれていました。その歴史は古く、1903年にバンコク・ノーイ駅として開業しました。当初は現在の場所よりも北側に位置していましたが、2003年に再開発のため約900m西の現在地に移転しました。この移転に伴い、駅名はトンブリー駅に改称されました。

旧駅と新駅

旧トンブリー駅は、チャオプラヤー川の右岸に位置し、バンコクの主要駅の一つとして機能していました。対岸には王宮地域があり、多くの人々が利用していました。駅前にはチャオプラヤー・エクスプレスの船着き場があり、水上交通との接続も便利でした。

一方、新駅は旧駅の西側に位置し、タイ南部および西部方面へのローカル列車が発着しています。駅自体は他の鉄道路線と接続していませんが、MRTバーンクンノン駅が徒歩圏内にあり、公共交通機関でのアクセスが可能です。

整備計画

トンブリー駅周辺は、今後大規模な再開発が予定されています。特に、タリンチャン-トンブリー間は、ライトレッドラインの支線として電化される計画が進められています。新駅はシリラート駅として、シリラート病院新病棟の地上階にライトレッドラインが、地下2階にはオレンジラインが乗り入れる予定で、一大ターミナル駅へと生まれ変わる計画です。

歴史の詳細

南本線は、タイ国鉄の主要幹線の一つで、1899年に着工されました。当初から1000mmの軌間を採用し、他の幹線とは異なっていました。1903年にはバンコク・ノーイ駅が開業し、南本線のターミナル駅としての役割を担っていました。しかし、南本線は他線と接続していなかったため、1927年にタリンチャン駅からの連絡線が開通しました。

この連絡線は、ラーマ6世橋でチャオプラヤー川を渡り、バーンスー分岐駅へと繋がっていました。これにより、南本線の主要列車は北本線方面へ直通するようになり、トンブリー駅を発着する列車はローカル列車が中心となりました。

第二次世界大戦中には、ラーマ6世橋が爆撃により不通となったため、トンブリー駅が一時的にターミナルとして活用されました。しかし、戦後、橋が復旧すると、主要列車は再び連絡線経由となりました。

1950年には二代目駅舎が開設され、駅名も旧トンブリー駅に改称されました。2003年の再開発に伴い、駅は現在の位置に移転し、新駅がトンブリー駅として開業しました。

駅の構造と周辺

新駅は、単式および島式の複合型ホームを持つ地上駅です。駅舎はホームに面しており、シンプルな構造となっています。駅前には市場があり、地元の人々で賑わっています。

また、駅の裏手にはトンブリー機関区があり、タイ国鉄の蒸気機関車が動態保存されています。特に、元・日本国鉄C56形蒸気機関車はここで整備されています。旧駅跡地は、バンコク・ノーイ運河に面しており、対岸にはモスクがあります。旧駅舎は現在、シリラート病院の博物館として利用されており、日本製蒸気機関車も展示されています。

作品への登場

トンブリー駅は、タイの恋愛小説『メナムの残照』の舞台としても登場します。この小説を通じて、駅の歴史や雰囲気に触れることができます。

トンブリー駅の年表

1903年6月19日：旧バンコク・ノーイ駅が開業。
1927年1月1日：ラーマ6世橋が開通し、一部列車がクルンテープ駅発着となる。
1944-1945年：第二次世界大戦でバンコク空襲による被害を受ける。
1945年2月：ラーマ6世橋が再び爆撃され、南本線の列車が当駅発着となる。
1950年：二代目駅舎が開設され、旧トンブリー駅に改名。
1953年12月：ラーマ6世鉄橋が修復され、主要列車の発着が減少。
1999年頃：再開発計画が本格化し、新バンコク・ノーイ駅が開業。
2003年10月4日：旧トンブリー駅が閉鎖され、新駅がトンブリー駅に改名。
2015年10月1日：当駅発着の優等列車が運休。

参考資料

柿崎一郎 『王国の鉄路 タイ鉄道の歴史』（京都大学学術出版会、2010年）
* 渡邉乙弘 『タイ国鉄4000キロの旅』（文芸社、2013年）



トンブリー駅は、その歴史的な背景と、今後の発展が期待される駅です。

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