IWA世界ヘビー級王座

IWA世界ヘビー級王座：国際プロレスの栄光と挫折の物語

IWA世界ヘビー級王座は、日本のプロレス団体「国際プロレス」が認定、管理していた主要タイトルです。その歴史は、1967年に創設されたTWWA世界ヘビー級王座にまで遡ります。TWWAは「トランス・ワールド・レスリング・アソシエーション」の略称で、カナダのプロモーター、フランク・タニーが会長を務めていました。

国際プロレスは1968年1月、ルー・テーズを招聘し、TWWA世界ヘビー級王座を日本に持ち込みました。しかし、グレート草津、サンダー杉山、豊登ら日本人レスラーはテーズを破ることができず、ダニー・ホッジが第2代王者となります。その後、TWWA設立者の一人であるグレート東郷が国際プロレスと決別し、外国人選手がボイコットしたため、TWWA王座は消滅しました。

この事態を受け、国際プロレスは新たな統轄組織としてIWA（インターナショナル・レスリング・アライアンス）を設立。1968年11月、第1回IWAワールド・シリーズを開催し、ビル・ロビンソンが初代IWA世界ヘビー級王者となりました。ロビンソンは外国人ベビーフェイスとして人気を博し、国際プロレスのエースとして活躍しました。

1970年、サンダー杉山が日本人初のIWA王者となりますが、翌年にはビル・ミラーに敗れます。その後、ストロング小林が王者となり、25回連続防衛という偉業を達成します。小林はブラックジャック・ランザ、レッド・バスチェン、ダスティ・ローデスといった強豪外国人選手を次々と撃破し、国際プロレス黄金期を支えました。1974年、小林はアントニオ猪木への挑戦を表明し、王座を返上して国際プロレスを離脱します。

小林の離脱後、ロビンソンが再び王者に返り咲きますが、タイトルはアメリカのスーパースター・ビリー・グラハムへ移ります。その後、マイティ井上を経て、ラッシャー木村が王座を獲得。木村は26回連続防衛を達成し、金網デスマッチなど数々の名勝負を生み出しました。挑戦者には、キラー・トーア・カマタ、ジプシー・ジョー、アンドレ・ザ・ジャイアントなど、個性豊かなレスラーが名を連ねます。

1981年8月、国際プロレスは活動を停止。IWA世界ヘビー級王座も事実上消滅しました。木村は新日本プロレスに移籍しますが、IWA王座は保持せず、タイトルは歴史の幕を閉じます。その後、鶴見五郎が吉原功社長の遺族の承諾を得て、国際プロレスプロモーションで王座を復活させましたが、かつての輝きは失われていました。

なお、オーストラリア、アメリカ北東部、カナダ・カルガリーなどでも、IWA世界ヘビー級王座を名乗るタイトルが存在していましたが、国際プロレスの王座とは別個のものです。ミル・マスカラスが保持するアメリカ北東部のIWA王座は、現在も存続しています。

IWA世界ヘビー級王座は、国際プロレスの歴史、そして日本のプロレス史における重要なシンボルとして記憶されています。その栄光と挫折の歴史は、多くのプロレスファンに語り継がれています。

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