スーパー・モンキー・スペシャル

1980年、日本テレビ系列で放送された正月特番『スーパー・モンキー・スペシャル サル年ばんざい! 猿は人間を超えるか!?』は、当時としては斬新な動物バラエティ番組でした。1980年が猿年であったことに因み、『サルは人間を超えるか』というテーマのもと、サルの生態に関するドキュメンタリーと、サルが演じるコントやアクションドラマが織り交ぜられました。

番組は、サルと人間の共通点や相違点を、ユーモラスかつ知的に探る試みとして企画されました。出演者は、司会に西田敏行、岡崎友紀、そして当時日本テレビアナウンサーだった徳光和夫。ゲストには、伴淳三郎、所ジョージ、桜田淳子、具志堅用高、小森和子、井上真由美といった豪華な顔ぶれが揃いました。

しかし、この番組は、現在では考えられないような、倫理的に問題のある演出が含まれていたことで大きな批判を浴びることになります。特に、サルをモグラたたきのモグラに見立て、ピコピコハンマーで叩くというシーンは、動物愛護の観点から多くの視聴者の反感を買い、大きな社会問題となりました。

この問題の責任を取らされる形で、演出家のテリー伊藤氏は日本テレビを解雇されました。この事件は、テレビ番組制作における倫理規定や動物の扱い方について、社会全体に大きな影響を与え、その後、動物を扱った番組制作において、より慎重な姿勢が求められるようになったと言えます。

番組の放送時間は、1月1日火曜の18時30分から20時54分まで。レギュラー番組を数多く差し替え、その時間帯の番組編成に大きな変更がありました。『NNN JUST NEWS』『各地のニュース』『ヤン坊マー坊天気予報』は30分繰り上げ放送、そして『シャープ・新スターアクション』『それは秘密です!!』『新五捕物帳』は全て休止となりました。このことからも、日本テレビがこの番組にどれだけ力を入れていたかがわかります。

『スーパー・モンキー・スペシャル』は、視聴率や話題性という点では成功したと言えるかもしれません。しかし、同時に、番組制作における倫理や、動物への配慮の欠如という大きな問題点を浮き彫りにした番組でもありました。

番組内では、映画『ロッキー』や『巨泉×前武ゲバゲバ90分!』のパロディも披露され、話題を呼びました。この番組の影響は、後の動物バラエティ番組にも少なからず影響を与えたと考えられます。例えば、現在も人気を誇る『天才!志村どうぶつ園』や、サルをテーマにした他の番組にも、その影響が垣間見えるかもしれません。

『スーパー・モンキー・スペシャル』は、単なるバラエティ番組としてだけでなく、テレビ番組制作の歴史において重要な位置を占める番組と言えるでしょう。この番組の成功と失敗から、私たちは多くのことを学ぶことができるはずです。番組の企画意図と、結果として起きた問題点、そしてその後の影響を理解することは、現代のメディア環境を考える上で非常に重要な視点となるでしょう。

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