ズールー語

ズールー語：南アフリカの主要言語

ズールー語は、南アフリカ共和国で約900万人のズールー族の人々によって話されている主要言語です。1994年のアパルトヘイト終結後、南アフリカの11の公用語の1つに制定されました。バントゥー諸語の南東グループであるングニ語群に属し、コサ語やスワティ語と近縁で、相互理解が容易です。クワズール・ナタール州やハウテン州を中心に話されており、レソト、エスワティニ、ジンバブエなどにも話者が存在します。特にジンバブエ南部で話されるズールー語は、北ンデベレ語と呼ばれています。また、19世紀以降のズールー族の移民の影響もあり、マラウイやタンザニア南部で話されるンゴニ語とも関連が深いと考えられています。

ズールー語の歴史

ズールー族の起源は現在のタンザニア付近とされ、南アフリカへの移動は14世紀頃まで遡ります。1832年にはズールー王国が建国され、独自の文化と言語が発展しました。ズールー語で書かれた最初の文献は、1883年に翻訳された聖書です。その後、1901年にはジョン・デューブが南アフリカ初の原住民族のための教育機関であるOhlange Instituteを設立。彼はズールー語で書かれた最初の小説『Insila kaChaka』（1933年）の著者でもあります。小説家レジナルド・ドロモも、19世紀のズールー国家指導者を描いた小説『U-Dingane』（1936年）、『U-Shaka』（1937年）など、ズールー語文学の発展に大きく貢献しました。

ズールー語の音声と音韻

ズールー語は基本的には5母音体系です。中広母音と中狭母音の音韻上の差異は、表記にも反映されません。単語単独で発音する場合、次末音節の母音は長母音化します。

子音には、クリック音と呼ばれる舌打音が特徴的です。これは南アフリカの言語に共通する特徴ですが、ズールー語では特に顕著です。歯吸着音(c)、歯茎吸着音(q)、側面吸着音(x)の3つの基本的なクリック音があり、それぞれに無声有気音、有声音、前鼻音化音、前鼻音化有声音のバリエーションがあり、合計15の子音があります。

ズールー語の文法

ズールー語は膠着語で、基本的な語順はSVO型です。しかし、動詞に格情報が含まれているため、語順の変更も比較的容易です。名詞には単数・複数による接頭辞があり、15の形態に分類されます。この接頭辞は、主語だけでなく、動詞や形容詞など他の品詞にも反映され、文全体の一貫性を保っています。動詞は、現在不定詞と完了詞の2つの語幹を持ち、時制や主語の一致を表す接頭辞が付けられます。形容詞は、形態的に動詞とみなせる場合が多くあります。

ズールー語の挨拶表現

ズールー語圏を訪れた際に使える挨拶表現をいくつか紹介します。

Sawubona（こんにちは、一人称）
Sanibonani（こんにちは、複数称）
Unjani？（お元気ですか？一人称）
Ninjani？（お元気ですか？複数称）
Ngiyaphila（元気です）
Ngiyabonga（ありがとう、一人称）
Siyabonga（ありがとう、複数称）
Isikhathi sithini？（いま何時ですか？）
Uhlala kuphi？（どこに滞在していますか？）
Eish（完全に面食らった時に使う南アフリカのスラング）

ズールー語に関連する事項

サッカー[[南アフリカ共和国代表]]: 愛称「Bafana Bafana」はズールー語で「少年たち」という意味です。
Ubuntu: ズールー語で「他者への思いやり」「皆があっての私」といった意味の言葉です。
* ジャブラニ: 2010 FIFAワールドカップの公式球で、「祝う」という意味です。

ズールー語は、豊かな歴史と文化を持つ言語です。この解説が、ズールー語への理解を深める一助となれば幸いです。

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