セイシェル (鉄道車両)

セイシェルとは

セイシェル（Seychelle）は、およそ1989年から2005年まで西日本旅客鉄道（JR西日本）が運用していた特別な鉄道車両です。この車両は、リゾートや観光に特化した「ジョイフルトレイン」の一種で、多客臨時列車や団体臨時列車として利用されました。その魅力は、豪華な内装や特別なサービスにあります。

開発の背景

セイシェルが登場する以前、福知山支社には本格的なジョイフルトレインが存在していませんでした。スハフ12形客車を改造した「いこい」という団体専用列車が1両保有されていましたが、これだけでは十分とは言えませんでした。このため福知山支社ではジョイフルトレインの需要が高まり、より快適で魅力的な列車の開発が求められるようになりました。

スハフ12 701は、国鉄の時代に1985年に改造された車両で、和室と洋室、ミニキッチンを備えた独特な構造を持っていました。この団体専用列車を基に、新たなジョイフルトレインを作ることが決定され、改造されたのがセイシェルです。具体的には、キハ58形気動車2両とスハフ12 701が改造の対象となりました。愛称「セイシェル」は、福知山支社の情報誌の名称から取られており、アフリカのセーシェル共和国にちなんだもので、楽園への旅行を志向するイメージを与えています。

編成と構造

セイシェルは、以下の3両編成から構成されています。

• - キロ59 554（元の番号：キハ58 1111） - 定員36人
• - キサロ59 501（元の番号：スハフ12 701） - 定員20人
• - キロ59 555（元の番号：キハ58 1119） - 定員36人

車体のデザイン

この車両は、独特なデザインにより、名実ともに目を引く存在です。前面にはヘッドサインが設置され、貫通扉も特徴的です，車体の色は清潔感あるアイボリーホワイトを基調に、エメラルドグリーンとチェリーピンクの帯が施されています。また、青色のコーポレートカラーが洗練された印象を与え、立体的なデザインになっています。

車内仕様

客室には横4列のリクライニングシートが配置されており、背もたれには独立したヘッドレストがついています。また、各座席には折りたたみ式テーブルが内蔵され、使い勝手も良好です。さらに、窓側に向けて固定できるため、グループでの利用でも楽しみやすい設計になっています。フロアは絨毯敷きで、カラオケ設備も用意されており、楽しい旅行をサポートします。中でも、キサロ59形には「くつろぎコーナー」として開放的なスペースが設けられ、ソファや冷水器、シャンデリアなどが設置されています。

運用と廃止

セイシェルは1989年10月27日に営業運転を開始しましたが、福知山運転所から豊岡鉄道部に転属したのは1999年のことです。その後、多客臨時列車などでの利用が続く一方で、2005年1月を最後に運用が終了しました。同年3月31日には廃車され、その歴史の幕を下ろしました。

参考文献

セイシェルについての詳細や背景に関する情報は、交友社や鉄道ジャーナル社の雑誌に掲載されています。これらの資料を元に、セイシェルの魅力を振り返ることができます。

おわりに

セイシェルは、リゾート気分を感じることのできる特別な列車であり、多くの旅人に愛されました。その優れたサービスや独自のデザインは、今も記憶に残っています。

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