セオドール・TY02

セオドール・TY02：1982年シーズンの挑戦と苦闘

1982年のF1世界選手権で、イギリスのレーシングチーム、セオドールから投入されたのがセオドール・TY02です。前作TY01に続くこのマシンは、設計者トニー・サウスゲートの手によって生み出されました。シーズンを通して2台のTY02が製作され、レースに挑みました。

マシン概要：グラウンドエフェクトと操縦性の難しさ

TY02は、ハニカム構造のアルミニウム製モノコックを採用したグラウンドエフェクトカーでした。特徴的なのは、非常に幅広のサイドポンツーンです。この設計は、マシンに独特の挙動をもたらし、ドライバーにとって操縦が困難な要因となりました。パワープラントには、信頼性の高いコスワースDFVエンジンが搭載されていました。

活躍の舞台：予選突破の壁と完走の難しさ

シーズン開幕戦の南アフリカグランプリには間に合わなかったTY02は、第2戦ブラジルグランプリから参戦を開始しました。しかし、レースでの成績は振るわず、ドライバーたちは予選突破に苦戦を強いられました。デレック・デイリーは2戦でリタイアを喫し、他のドライバーも完走に至ることは稀でした。第4戦サンマリノグランプリは、FOCAのボイコットに参加したため欠場しています。ヤン・ラマースは6戦中1回、トミー・バーンは5戦中2回のみ予選を通過したものの、完走には至りませんでした。ジェフ・リースは第8戦カナダグランプリにのみ参戦し、予選通過を果たしましたが、こちらも完走は叶いませんでした。

1983年以降：セオドールF1撤退と新たな活躍

1983年シーズン、セオドールはエンサインからN183マシンを導入し、このマシンがチームに唯一のポイントをもたらしました。同年、セオドールはF1からの撤退を決定します。しかし、TY02の活躍はこれで終わりではありませんでした。1984年、TY02はビル・テンペロに売却され、Can-am選手権に参戦することとなります。F1での苦戦とは対照的に、新たな舞台でその性能を披露する機会を得たのです。

まとめ：挑戦と進化の軌跡

セオドール・TY02は、F1という最高峰の舞台で、その性能を試されたマシンでした。予選突破の壁や完走の難しさなど、多くの困難に直面しながらも、チームとドライバーは最後まで戦い抜きました。F1での活躍は短期間に終わりましたが、その後のCan-am参戦は、このマシンの潜在能力を示すものとなりました。セオドール・TY02は、F1の歴史において、挑戦と進化の軌跡を残した一台と言えるでしょう。

参考文献

Adriano Cimarosti: Das Jahrhundert des Rennsports. Autos, Strecken und Piloten. Motorbuch-Verlag, Stuttgart 1997, ISBN 3-613-01848-9.（ドイツ語）
David Hodges: A-Z of Grand Prix Cars. Crowood Press, Marlborough 2001, ISBN 1-86126-339-2.（英語）
David Hodges: Rennwagen von A-Z nach 1945. Motorbuch-Verlag, Stuttgart 1994, ISBN 3-613-01477-7.（ドイツ語）
Pierre Menard: La Grande Encyclopedie de la Formule 1. 2. Auflage. Chronosports, St. Sulpice 2000, ISBN 2-940125-45-7.（フランス語）

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