セゴビア旧市街と水道橋

スペインの世界遺産：セゴビア旧市街と水道橋

スペイン・セゴビアにあるセゴビア旧市街と水道橋は、1985年に世界遺産として登録された歴史的建造物群です。首都マドリードから高速鉄道で約30分というアクセスの良さから、日帰り観光にも人気のスポットとなっています。

まさに絵画のような絶景

セゴビア旧市街は、長く狭い高台の上に広がり、その壮大な景観は訪れる者を圧倒します。赤い大地が広がるカスティーリャ地方の風景と調和し、まるでファンタジーの世界から飛び出してきたかのような美しい街並みが広がっています。

見どころ：歴史的建造物の宝庫

旧市街には、数々の歴史的建造物が点在しています。

セゴビア水道橋:紀元1世紀頃に建設されたローマ時代の水道橋は、全長728メートル、高さ28メートルにも及びます。166個のアーチが連なり、花崗岩を積み上げたその壮大さは圧巻です。モルタルを使用せず、花崗岩のアーチ構造だけで支えられている技術の高さは、当時のローマ帝国の高度な技術力を物語っています。スペイン最大規模の水道橋として、今もなお人々の生活を支えています。
セゴビア大聖堂:16世紀から18世紀にかけて建設された後期ゴシック様式の大聖堂は、その荘厳な姿で人々を魅了します。繊細な装飾と高い技術が融合した、見事な建築物です。
アルカサル:旧市街の西端、2つの川が合流する岩山の上に立つアルカサルは、おとぎ話に出てくるような美しい古城です。ディズニー映画『白雪姫』の城のモデルにもなったと言われ、そのロマンチックな姿は多くの観光客を惹きつけています。グワダラマ山地の西側斜面、標高約100メートルの断崖絶壁の上に位置し、古くはケルト・イベリア人の拠点であった後、ローマ帝国によって再建・整備されました。その後、11世紀には城壁が再建され、86もの城塔が築かれ、堅固な要塞都市としての役割を担っていました。
ラ・ベラ・クルス教会:旧市街の北の外れに位置するこの教会は、テンプル騎士団によって建設された歴史ある教会堂です。

セゴビア水道橋：ローマ時代の技術の粋

セゴビア旧市街は急峻な丘の上に位置するため、生活用水確保が課題でした。当時の技術では、水道管による圧送給水は不可能だったため、給水源から旧市街と同じ高さの導水路を建設する必要がありました。そこで、遠くの川を水源とし、旧市街の丘と同じ高さに水道橋を建設、橋の上に導水路を敷設したのです。

橋の下は通路を兼ねた広場となっており、商店などが立ち並び、水道橋を中心に都市が発展していきました。ローマ時代以降も使用されていましたが、イスラム教徒の占領とレコンキスタによって、アーチの一部が破壊され、使用不能になっていました。その後、カスティーリャ王国のイサベル1世によって修復され、現在のような姿となりました。

水道橋の細長く高い構造は圧巻です。橋脚の基部は幅2.4メートル、高さは地上30メートルにも及び、「悪魔の橋」と呼ばれるほどです。スペイン全土でも類を見ない規模を誇り、ローマ時代の技術とスケールの大きさを示す重要な遺構となっています。

世界遺産登録基準

セゴビア旧市街と水道橋は、以下の世界遺産登録基準を満たしています。

(1) 人類の創造的才能を表現する傑作
(3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠
(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例

セゴビア旧市街と水道橋は、歴史と文化、そして自然が織りなす、まさにスペインを代表する観光地です。その美しい景観と歴史的価値は、訪れる者全てに忘れられない感動を与えてくれるでしょう。

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