セマングム

セマングムとは

セマングム（새만금）は、大韓民国全羅北道に位置する広大な干潟であり、大規模な干拓事業によって造成された土地です。錦江と東津江の河口に広がるこの地域は、かつて多様な生物が生息する汽水域であり、渡り鳥の重要な飛来地としても知られていました。

1991年から始まった干拓事業は、33kmに及ぶ防潮堤の建設を伴い、2010年に完成しました。この事業は、盧泰愚大統領から朴槿恵大統領まで、6人の大統領が公約に掲げた国家プロジェクトであり、巨額の費用が投じられました。しかし、その過程では、環境破壊や漁業への影響を懸念する反対運動も起こりました。

セマングム干拓事業

1986年、韓国政府は群山と扶安を結ぶ防潮堤を建設し、湾内を干拓する計画を発表しました。この事業の目的は、新たな農地と水資源の確保、群山-扶安間の交通時間短縮、産業振興など多岐にわたります。しかし、政治的な動機も指摘されており、全羅道の冷遇に対する不満を解消する目的があったとも言われています。

この干拓事業は、漁業者や環境保護団体からの強い反発を受けました。数々の訴訟も起こされましたが、最高裁判所は二度にわたり訴えを退けました。2006年、15年の歳月をかけて防潮堤が完成し、セマングムは外海と遮断されました。

防潮堤の全長は33.9km、平均道路幅は290mにも及び、ギネス世界記録にも登録されています。干拓地は401平方キロメートルに及び、そのうち283平方キロメートルが土地、118平方キロメートルが淡水湖となっています。行政区域としては、群山市が71.1%、扶安郡が15.7%、金堤市が13.2%を占めています。

事業費は、最終的に約2兆9000億ウォンに達しました。その広大な用地の利用については、農地造成、企業団地、ゴルフ場、展望タワーなど、様々な計画が示されています。

世界スカウトジャンボリーの誘致

セマングムの活用策として、2023年には世界スカウトジャンボリーが開催されました。全羅北道は、ジャンボリー開催によって、空港や幹線道路の建設を推進し、経済効果を期待していました。しかし、実際には、設備や環境面での不備、台風の影響などにより、参加者が早期に撤収する事態となりました。

セマングムの現在と課題

セマングムは、干拓事業によって姿を変えた土地です。かつての生態系は失われ、新たな開発計画が進められています。しかし、その開発計画は、環境問題、経済性、持続可能性など、多くの課題を抱えています。

セマングムは、韓国の国土開発における成功と失敗の両面を象徴する場所として、今後も注目を集めるでしょう。今後の開発動向が、環境と開発の調和という観点から、どのような方向へ進むのか、国内外から関心が寄せられています。

参考資料

佐藤正典編『有明海の生き物たち 干潟・河口域の生物多様性』海游社 2000年 ISBN 4-905930-05-7
洪在上『韓国の干潟の底生生物 -特に仁川周辺の干潟について』

関連項目

始華湖 - 1994年、干潟を締め切って作られた人造湖
仁川国際空港 - 2001年開港。干潟を埋め立てて作られた
環境問題
金泳鎮
セマングム開発庁

外部リンク

セマングム開発庁（日本語ページもあり）

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