セメイ

カザフスタン北東部の都市、セメイ：歴史と現在

セメイは、カザフスタン北東部のアバイ州に位置する州都です。かつてはセミパラチンスクとして知られており、豊かな歴史と複雑な近現代史を持つ都市として知られています。人口は約32万7500人（2022年推計）で、14の村区と2つの町から構成される地区級市です。

18世紀からの歴史：交易の要衝

セメイの歴史は1718年に始まります。ロシア人によってイルティシュ川沿岸に築かれた城砦がその始まりで、7つの建物を有する仏教寺院跡を起源とすることから「7つの部屋の町」を意味するセミパラチンスクと名付けられました。当初の城砦はイルティシュ川の氾濫に悩まされ、1778年には現在の位置へ移設されました。

その後、カザフ人遊牧民とロシア人との河川交易の中心地として発展し、徐々に都市としての規模を拡大していきました。1910年代末にはトルキスタン・シベリア鉄道が敷設され、中央アジアとシベリアを結ぶ交通の要衝として、セメイは急速な発展を遂げました。

文豪と詩人ゆかりの地

セメイは、ロシアの文豪ドストエフスキーとも深い関わりがあります。シベリア流刑後の兵役期間中（1854～1859年）、ドストエフスキーは当地の守備大隊に配属され、最初の結婚相手となる女性と出会いました。また、カザフ国民文学の祖とされるアバイ・クナンバイウルも学生時代をセメイで過ごしたことで知られています。

核実験とその後：非核条約の締結

第二次世界大戦後には、シベリア抑留から送られてきた日本兵捕虜の一部が強制労働に従事し、多くの犠牲者を出しました。さらに、1949年にはセメイ西方150kmのクルチャトフ付近に核実験場が設置され、1989年までに456回もの核実験が行われました。そのうち116回は、大気圏内核実験だったため、セメイ周辺地域は甚大な放射能汚染を受けました。この汚染は、多くの住民の健康被害を引き起こしています。

しかし、この暗い歴史は、皮肉にもセメイに新たな役割をもたらしました。2006年、セメイにおいて中央アジア諸国によって「セメイ条約（セミパラチンスク条約）」と呼ばれる非核条約が締結されました。この条約は、核兵器のない未来を目指した国際的な取り組みの象徴となっています。

行政区画と現在

セメイは、14の村区と2つの町から成る行政地区です。1939年からセミパラチンスク州の州都でしたが、1997年に州の合併により州都の地位を失いました。しかし、2022年6月8日、旧セミパラチンスク州がアバイ州として復活すると、セメイは再び州都として選ばれ、新たな歴史を刻み始めています。

友好姉妹都市

セメイは、ベルギーのイーペルと友好姉妹都市協定を締結しています。(2012年3月17日)

セメイは、歴史の重みと未来への希望を胸に、発展を続けている都市です。

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