セルトラリン

セルトラリンについて

セルトラリン（英語: Sertraline）は、抗うつ薬の一種で、選択的セロトニン再取り込み阻害薬（SSRI）として分類されます。アメリカでは1991年に承認され、ファイザーによって商品名ゾロフトで販売されています。日本では2006年からジェイゾロフトとして薬価収載され、以降、2016年からは後発薬も登場しています。主な適応として、うつ病、パニック障害、心的外傷後ストレス障害（PTSD）などが含まれます。

性質と特性

セルトラリンは、無臭の白色結晶であり、若干水に溶解します。この薬はSSRIの中でも特に強いセロトニン再取り込み阻害作用を持っており、精神疾患の治療に効果を示します。ただし、離脱症状についてはパロキセチンよりは軽いものの、フルオキセチンよりは発現頻度が高いとされています。

この薬は主にCYP2D6という酵素で代謝されるため、肝機能に障害がある患者には注意が必要です。肝機能障害者には投与量の調整や頻度を減らすことが推奨されます。また、セルトラリンはSSRIの中では薬物相互作用が比較的少ないことも特徴です。

重要な注意事項

セルトラリンには、複数の禁忌があります。過去に成分に対する過敏症を示したことがある患者や、モノアミン酸化酵素阻害薬を併用している患者は特に投与を避けるべきです。この理由として、モノアミン酸化酵素阻害薬との併用が神経伝達物質の濃度を増加させる可能性があるためです。

加えて、特定の抗精神病薬との併用も注意が必要で、QT延長のリスクが伴います。電気痙攣療法との併用に関しては有効性や安全性が確立されておらず、さらなる調査が求められています。

副作用と重大な副作用

セルトラリンの使用に伴う副作用には、胃腸障害（悪心、下痢）、睡眠障害（早朝覚醒など）、頭痛、口渇、振戦などがあります。稀に躁病を引き起こすことがあり、特に注意が必要です。最も一般的な副作用は吐き気です。

重大な副作用としては、セロトニン症候群や悪性症候群が挙げられます。これらの症状は、意識障害や不安、発汗、頻脈などの神経症状が含まれます。また、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群（SIADH）も報告されており、過剰な水分摂取による低ナトリウム血症が発生する可能性があります。

結論

セルトラリンは多様な精神障害に対して有効な治療選択肢を提供しますが、副作用や禁忌についての理解が必要です。医療従事者と相談しながら、適切な使用を心がけることが重要です。

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