セルビア・ディナール

セルビア・ディナールについて

セルビア・ディナール（セルビア語：динар, динара、通貨コード:RSD）は、セルビアの通貨です。補助単位はパラ（セルビア語：пара、1/100ディナール）ですが、現在ではほとんど使用されていません。

歴史

中世のセルビア・ディナール

セルビア・ディナールの歴史は1214年頃に遡り、ステファン・ネマニッチの時代に初めて使用されました。中世のセルビアでは、銀の鉱山が豊富であり、ディナール銀貨はセルビアの支配者によって鋳造され、輸出されていました。この銀の豊富な産出は、セルビアを経済的に潤しましたが、一方で、同じく銀貨を発行していたヴェネツィアからは、ダンテの『神曲』にセルビア王ウロシュ2世が贋金犯として登場するほど、快く思われていませんでした。

近代のセルビア・ディナール

1459年にオスマン帝国に征服された後、セルビアでは多くの外貨が流通していましたが、1817年にセルビア公国が成立すると、通貨制度の整備が始まりました。ミロシュ・オブレノヴィッチ公は、グロートを基準とした為替レートを確立し、1819年には43種類の外貨の流通価値を定め、一定の秩序をもたらしました。1867年にはオスマン軍を撤退させ、1868年には金、銀、銅の硬貨と紙幣が発行され、独自の通貨制度が確立しました。セルビア王国はラテン通貨同盟に加盟し、1914年まで金銀複本位制を維持しましたが、第一次世界大戦を経て、ユーゴスラビア王国の一部となり、通貨もユーゴスラビア・クローネやユーゴスラビア・ディナールに移行しました。

ナチス・ドイツ占領下でのセルビア・ディナール

ユーゴスラビア王国は1941年にナチス・ドイツによって解体され、その傀儡国家であるセルビア救国政府によって、セルビア・ディナールの名が再び使われ始めました。この時期のディナールはライヒスマルクと固定され、ユーゴスラビア・ディナールの再導入までの約3年間流通しました。ナチス・ドイツ降伏後、ユーゴスラビア・ディナールとの交換レートが設定されました。

現在のセルビア・ディナール

現在のセルビア・ディナールは、2003年にセルビア・モンテネグロがユーゴスラビア・ディナールを置き換える形で復活しました。モンテネグロやコソボではユーロが導入されたため、セルビア国内でのみ流通しています。コソボのセルビア人居住区ではセルビア・ディナールが使われていましたが、2024年2月にはコソボ政府がユーロへの統一を発表し、議論を呼んでいます。

硬貨

現在流通している硬貨は、1、2、5、10、20ディナールです。このうち、1、2、5ディナールが主に流通しており、10、20ディナール硬貨は流通量が少なく、記念硬貨としての側面が強いです。2003年以降に発行された硬貨はすべて法定通貨として認められています。

紙幣

現在流通している紙幣は、2000年発行のユーゴスラビア・ディナール紙幣のデザインを踏襲しており、構図や色味は共通しています。ただし、透かし部分、表面の国名、裏面のエンブレム、ホログラムのデザインは変更されています。ユーゴスラビア・ディナール紙幣は2012年末で価値を失効しています。500ディナール紙幣は2004年に、2000ディナール紙幣は2011年に新たに設計されました。

為替レート

セルビア・ディナールの為替レートは、市場の動向によって変動します。最新の為替レートは、為替レートを提供する金融機関のウェブサイトなどで確認できます。

脚注

注釈

出典

関連項目

ディナール
通貨の一覧
現行通貨の一覧

外部リンク

セルビア中央銀行ホームページ

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