セレス (ギリシャ)とは？意味をやさしく解説

セレス：歴史と文化が息づくマケドニアの古都

セレス（ギリシャ語: Σέρρες）は、ギリシャのマケドニア地方に位置する都市で、その歴史は古代にまで遡ります。海抜70メートルの肥沃な平原に位置し、ストリモナス川やテッサロニキといった主要な場所からも比較的近い距離にあります。ロドピ山脈を背景にした美しい風景も特徴です。

古代から中世へ：変遷する都市の名称と支配

セレスの歴史は、紀元前5世紀にヘロドトスによって「シリス」として言及されたことに始まります。その後、「シッラ」や「シラエ」など、様々な名前で歴史に登場しました。東ローマ帝国時代には要塞が築かれ、その戦略的な重要性が増しました。10世紀にはブルガリア軍による包囲、12世紀にはセレスの戦いなど、度重なる戦乱に見舞われました。

13世紀には、ブルガリア帝国の支配下に入り、その後ニカイア帝国によって奪還されました。14世紀にはセルビア王国の首都として栄え、ステファン・ウロシュ4世が「セルビア人とローマ人の皇帝」を名乗るほどの権勢を誇りました。しかし、彼の死後、王国は混乱し、14世紀後半にはオスマン帝国の支配下に入りました。

近代から現代へ：激動の時代を経て発展

20世紀初頭には、セレスは反オスマン帝国運動の中心地となり、イリンデン蜂起が勃発しました。バルカン戦争を経てギリシャ領となりましたが、第一次・第二次世界大戦ではブルガリア軍に占領され、町は荒廃しました。戦後、ギリシャ政府の主導による復興計画によって、経済は大きく発展しました。

経済と文化：農業から製造業まで

セレスは、その肥沃な土地を利用した農業が盛んで、タバコ、穀物、畜産は重要な貿易の中心となっています。20世紀末には政府の支援によって製造業も発展し、織物などの生産も盛んです。市内では、ギロピタやスブラキといったギリシャ料理が楽しめ、名産品のアカネスというキャンディーも人気です。

セレスゆかりの人物たち

セレスは、歴史の中で多くの著名人を輩出しています。ギリシャ独立戦争の指導者であるエンマヌイル・パッパス、サッカー選手のアンゲロス・ハリステアスやエフスタティオス・タヴラリディス、歌手のグリケリアなどが有名です。オスマン帝国のベイであるガジ・ヒュスレヴ＝ベクも、この地にゆかりがあります。

スポーツと姉妹都市

セレスには、パンセレコスFCというサッカークラブがあります。また、ブルガリアのブラゴエヴグラト市と姉妹都市提携を結んでおり、国際的な交流も活発です。

セレス (ギリシャ)